日本歯科医師会の短期・中期の課題と対策(上)

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人材育成に日歯が関与するのが最重要課題 日本歯科医師会の戦略会議がまとめた「保健・医療政策ビジョン」について、言及する。 これは、2015年までの短期・中期の課題と対策である。 「歯科の未来像を確かな構想力で示す」と日本歯科医師会の大久保満男会長は発刊に際してのなかで述べている。 歯科保健医療ビジョンは、「生活の医療」を旗印にする。 基本的には、1)地域医療ニーズに対応した歯科医療提供体制の根本的な見直し、2)歯科医師の適正数と質の確保、3)医療の効率化を図るため、医学教育、研修医・専門医制度の見直し、4)診療報酬制度の見直し、などに集約される。 <社会的背景の分析> ◎人口構造の変化(少子化、団塊の世代が60歳代を迎える、要介護者の増加) ◎世界同時不況(自動車業界はじめ製造業の激しい落ち込み) ◎格差社会の進行(IT化に馴染む者、馴染まない者間で、情報格差が生じ、機会の均衡が大幅な差が生じる。所得格差の増大) ◎ストレス社会(自殺者の数が10年連続3万人を越える異常事態) ◎温暖化による異常気象と社会不安(CO2問題、日本の食糧生産自給率が40%、食の安全問題) ◎国の財源赤字(諸費税を上げる問題) <歯科医療の将来予想> 2010年 歯科診療所数7万2420 人口数1億2747万3000 2035年 歯科診療所数8万2053 人口数1億1360万2000 歯科医師国家試験の合格率の低下、歯科大学・歯学部入学者の定員われ、歯科医業経営の悪化。 歯科受診率の低下、医業収益の減少幅が大きくなる。歯科医院の倒産の増加。 <歯科医療ニーズの将来予測> 高齢化率は2030年31.8%に増加。要介護者数が623万3872人と膨大な数となる。 高齢者の残存歯数が20本を越す人が増加して、在宅歯科医療のニーズが高まる。 高齢者の根面齲蝕の増加。 <重点課題とその対策> 遺伝子診断、遺伝子治療、再生医療などの歯科医学の発展。 歯科疾患が全身疾患発症の共通危険因子になる「という研究が集積される。 歯科健康医療福祉に貢献する歯科医師の役割の重要性が認識される。 高齢社会への対策として、地域完結型医療が推進される。 職種間での協働によるチーム医療の充実。 医師、看護師との連携により、歯の健康増進によるメタボリックシンドロームの予防や摂食・嚥下機能等の口腔機能向上を通じて、地域の生活の基本を支える医療として位置づけられる。 歯科医療関係職種の人材育成に日本歯科医師会が積極的に関与する政策。 地域における「かかりつけ歯科医機能」を強化するうえでも人材育成が最重要化大学になる。
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