日本歯内療法学術大会開く 歯科治療の根幹Endo

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第31回日本歯内療法学術大会(中久木一乘大会長)が関東甲信越静支部会の共催で7月24、25の両日、東京・千代田区丸の内の東京商工会議所4階で開かれた。

今回のテーマは、歯科治療の根幹Endoを熱く語る— Endoで大きく変えよう!

中久木一乘大会長(写真右下)は、挨拶のなかで、「残念なことに全国の歯科大学・歯学部において歯内療法の専門講座が減少している」と指摘していた。 

何故なのだろう?

歯内療法は、歯周治療と一体になって歯を守る「歯科治療の中心・本質」の治療学とされている。

歯内療法の成功の鍵は、根管内をきちんと清掃し、ただちに修復されることだ。

健康志向の高まりのなかで、歯や歯髄を保存する要望が強まっている。

特別企画「歯髄保存の意義と勘所 — 小児から成人へ —」で、宮新美智世さん(東京医科歯科大学助教)は、「乳歯が正常に歯根吸収して脱落するためには、乳歯の歯髄が必要だ。乳歯の歯髄が健全であるとき、乳歯は正常に脱落し、永久歯と交換できる。しかし、ひとたび歯髄炎が炎症や感染などの陥ると、歯根吸収が亢進して乳歯が早期に喪失したり、反対に歯根吸収が抑制されて晩期残存するなどの問題が生じる。また、炎症が歯髄から歯周組織へ達し、後続永久歯の形成不全や萌出障害などをまねく危険も生じる」とした。

歯内疾患は疼痛や腫脹といった患者の苦痛との関わりが深い。

そこで患者側は、「早く痛みを取り除いてほしい。できれば自分の歯を残したい」と切実に願う。

そのなかで、歯髄保存療法か抜髄かの選択も迫られる。

下川公一さん(福岡県開業)は「より安全な歯内療法のために」の講演で、「歯内療法は、開業医として経験を積めば積むほどにだんだん難しくなるように思うようになってくる」と臨床歴43年目での本音を語った。

過去に自分が行った歯内療法が、真面目に努力をして基本どおりにやったわりには、その結果がすべて良いとはかぎらない」と振り返る。

そして、3年前に、より確実な歯内療法を画像診断の必要に迫られ歯科用CTを導入した。

その結果、「今までのデジタルX線画像診断には、あまりにも不確実な要素が多いことが分かり愕然とした」と述べた。

歯内療法とは、ベテラン歯科医師にしても、試行錯誤なのだ。

歯内療法は、根管形成、根管洗浄、根管消毒、根管充填である。

これに加えて、デモンストレーションレクチャで、小嶋壽さん(東京開業)は、歯根消毒では、歯冠部からの微小漏洩ということも重要であり、「歯全体の象牙質消毒」という意識改革が必要と指摘した。

2日目の午後に行われた画期的な企画であるシンポジウム「健康、機能を回復する歯内療法」の内容を後日、掲載する。

なお、参加者は約600名で、企業による特別講演、ランチョンセミナー、企業協賛企画講演会、企業展示(53社)も注目された。

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