新潟県歯科医師会:厚労省委託事業歯の情報データベース化を実証実験

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読売新聞(8月29日付)によれば、歯科界が社会から期待されている、身元確認の歯科からのアプローチについて報じた。報道内容は以下のとおり。

災害で多数の身元不明遺体が発見された場合などを想定し、新潟県歯科医師会などが、個々の歯科医が持つ患者の情報をデータベース(DB)化し、遺体から得られた歯の情報を元に検索をかけて身元を特定できるようにする実証実験を行っている。

東日本大震災で遺体の歯の状態が分かりながら、歯科医が保有する生前の治療情報を共有し、整理するのに手間取った教訓を生かす狙いがある。実験は、厚生労働省の委託で今年度、全国で初めて実施している。同会は、1985年の日航ジャンボ機墜落事故を機に歯科情報に基づく身元確認を研究してきた群馬県高崎市の歯科医小菅栄子さんや東北大の青木孝文教授らとともに、全国に先駆けてシステムの試作などを行っていた。

県内約40の歯科医院などから患者の承諾を得られた7000〜8000人分のカルテ情報を匿名化した上で提供してもらい、治療痕などの情報を入力してDBを構築する。さらに、各歯科医院に治療に来た患者に協力を求めて、歯の特徴をマークシートに落とし、それを遺体から得られた情報と仮定してDBで検索。どの特徴を条件にすれば高い確度で本人に行き着くことができるのかを分析し、約1500人分の所見について報告書をまとめる。

県歯科医師会によると、日本人は成人の9割以上が歯の治療を受けている。親知らずを除く32本の歯を〈1〉健全〈2〉虫歯〈3〉欠損、など5種類に選別しただけでも組み合わせは数十兆通りにもなるといい、人の歯とカルテの歯科情報を照らし合わせれば、高い確率で個人を特定することができる。

警察庁によると、東日本大震災の被災地、岩手、宮城、福島県で、身体的特徴や所持品などで身元が特定できなかった犠牲者約1800人のうち、約7割に当たる約1250人は歯科情報で身元が判明しており、DNA鑑定や指掌紋よりも決め手となった。しかし、カルテが津波で流出した例も多く、カルテを探し、情報収集する作業に多くの人員や時間を費やされた。震災の犠牲者が最も多かった宮城県では、身元不明の遺体がまだ約50体ある。身元確認を指揮した宮城県歯科医師会大規模災害対策本部身元確認班長の江沢庸博さんは「まだ身元がわからないままのご遺体のほとんどに歯がある。事前にDB化されていればそれでかなりの人の身元に迫れたはずだ」と話す。

新潟県歯科医師会の五十嵐治会長は「情報をどういう形で集めて照合するのか、技術的に難しい部分もあるが、実験を通じて問題点を洗い出していきたい」と話している。

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