新潟県歯科医師会 ”身元の自動照合システム”をバックアップ強化

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8月12日慰霊の式典が開催され、前原国土交通大臣、福田康夫・元総理大臣、稲盛和夫・日本航空会長らが参列して行われた。慰霊登山と同じく現職大臣が追悼慰霊式に出席するのは初めてのことであった。今年は、日本航空が会社更生法を申請したこともあり、経営再建重視のあまり、安全が軽視されるのではないか、と遺族から不安の声もが聞かれていた。事故から25年の歳月が経ち、日本航空社内でも、事故を知らない世代が増えています。ある遺族は「若い人こそ、事故のことをもっと知ってほしい」と話していた。犠牲者と同じ520本のロウソクの灯りがともされ霊を慰めるとともに、空への安全への祈りが捧げられた。

このように社会では、忘れてならない事件として刻み込まれている日航機墜落事故は、身元確認として歯科界にもおきな期待される契機にもなっていた。特に、その以後の研究には、多くの功績があったのも事実であり、最近では、身元の自動照合システムの研究に取り組んだ小菅栄子氏(群馬県高崎市)の手法に注目が集まっている。具体的には、身元不明の遺体の確認を迅速化するため、生前に撮影された歯のエックス線写真を電子画像でデータベース化し、遺体の歯の画像と自動照合するシステムであり、実用化に向けて動き出している。

小菅氏は、警察歯科医であった父親から「気の遠くなるような作業が続いたが、少しでも早い身元確認は、歯科医師が遺族のためにできる唯一のものだ」と、常日頃述べていたことに、大きな影響を受けたとしている。

今年になり父親は急逝したが、小菅氏は、歯科大で学び、卒業後の1999年から身元確認システムの研究を始めていた。エックス線写真は一枚一枚撮影角度が違ったり、ゆがみがあったりして、自動照合は困難とも言われた。しかし、画像の歪みなどを自動補正し、類似性の自動検出法を研究する青木孝文・東北大学大学院情報科学研究科教授(情報工学)の協力で課題を解決し、2006年にシステムを完成させている。

 大規模災害時に損傷の激しい遺体の身元確認を迅速化できるほか、犯罪捜査や全国で発見される身元不明の遺体の特定にも応用できるものであり、その研究成果は、米国の学会で高い評価を得たが、日本での関心は低かった。

こうした中、新潟県歯科医師会(五十嵐治会長)は、昨年11月、新潟県で開催された警察歯科医会全国大会のテーマにしたことを契機に、「作業効率が飛躍的に向上する」と関係者から注目された。日本歯科医師会でも「日本法歯科医学会などとも連携し、IT化を促進したい」と試験運用の準備を進めている。県歯科医師会は独自に、この研究に関する検討チームを発足させており、「強力にバックアップしたい」とし、日本歯科医師会にも働きかけを続ける方針だという。

県歯前役員は「会長以下、会員として、少しでも歯科医師の専門性を生かせればという思いでの態勢作りになったと思います。このことは、国民に広く理解してほしいと期待しています。当然ながら、日歯にも積極的な対応を望んでいます」と述べている。

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