新しい歯科技術で選定療養のあり方を考えていく
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日本歯科医師会代議員会質疑(2)
<地区代表質問>
◎ 定常型社会における真に豊かな歯科口腔医療の姿とは
東北・北海道地区
箕輪隆宏代議員(北海道)
定常型社会とは、『ゼロ成長社会』のことをさす。
この社会では、医療の質の評価、高次元医療の実現が求められる。
患者の権利、情報の開示、選択・競争原理の導入、医療の安全性が担保された量から質への転換が図られる。
つまり、定常型社会とは成熟経済型社会であり、医療もそれに対応するものである。
質問
1)プロービングデータ、X線撮影、口腔内写真、スタディモデル等の収集がなされた、健康管理のためのメインテナンスが歯を守り、身体を守り生活を支える。
歯科は生活を支える医療であるので、メインテナンスを保険診療の枠組みに確り取り入れ、安定した口腔を育み、そして終末期口腔医療や訪問口腔ケアに繋げていくことが、国民にとって、定常型社会(ゼロ成長社会)の豊かな歯科口腔医療となるのでは、と考えるがいかがか?
2)国民の健康維持また医療費削減のため、年に2〜3回のメインテナンスを受けることを義務とする法律の制定の啓発活動を今後どう展開していく考えなのか?
3)資源のない我国でいつまでメタル修復なのか?
人と地球にやさしい環境親和型修復物を保険に導入し、国民に豊かな歯科医療として提供していくべきと考えるがいかがか?
大久保満男会長 市場の拡大は限界にきている。問題は定常型社会にどのように対応するかである。
先生のおっしゃるとおり、歯周病などは確りと口腔管理をしていかないので、診療報酬上できちんと評価をしてもらわなければならない。
予防とは病気にならないとこだ。
歯周病は生活習慣として防ぐことができる。
高齢化することで、人は様々な疾病に罹る。
では何故予防が大切なのかと言えば、幸せに生きるためである。
齲蝕予防も歯周病もその観点から予防が大切である。
医療費が増えることが問題ではなく、国民の幸せ健康のために予防が大切なのだ。
メタルの修復問題については今、学会、歯科産業業界との間で、積極的な意見交換をしている。
これまでは相談がなかったが、嬉しいことに今後、歯科産業界は新製品を出す時に相談していくこととなった。
パテントを出す時の際どい問題もあるが、我々と相談していくこととなった。
◎ 混合診療・保険外併用療養費制度への日歯の対応について
関東地区
三塚憲二代議員(山梨県)
大久保会長は、執行部発足直後の2006年5月に「相南宣言」で、「保険外併用療養費制度を進めるべきだ」という姿勢を表明した。
いくつか論議があったが、なかなか前に進んでいかない。
大久保会長に考え方を聞きたい。
大久保会長 資料を用意したが、1ページ目と2ページ目が三塚先生対する意見である。
極めて大事なことで申し上げたが、これは2004年に規制改革・民間開放推進会議の中で、混合診療の全面解禁が唱えられた。
これに対して、厚生労働省は混合診療の原則禁止の姿勢を変えなかった。
そして、2006年の健康保険法改正をもって、現行の保険外併用療養費制度として、「評価療養」と「選定療養」に整理されている。
規制改革・民間開放推進会議が狙ったことは、公的保険を減らし民間保険会社に賄わせる。
完全のアメリカ型の保険システムを目指していた。
しかし、民間保険会社は利益を求めてやっているので、医療ではないので絶対にリスクの高いものには医療費を払わない。
これが今のアメリカの医師、歯科医師のジレンマである。
こういう社会にはしてはいけないと私たちは、混合診療という言葉をまったく使わない。
民間保険にしていくことには、真っ向から反対をしていることが、日歯の姿勢である。
ただし、新政権になってこのようなことは白紙に戻った。
アメリカでは所得が高いほど医療費を高いが、日本は所得の多寡に関わらず一定の医療費である。
国民にとって、国民皆保険を守ることが大切だ。
「相南宣言」では議論をしたが、選定療養については慎重に選んでいきたい。
歯科にはアメニティという部分が強くあるので、そこも含めて、選定療養のあり方を考えていく。
問題は評価療養である。
新しい歯科技術が開発されると歯科器材メーカーが日本歯科医師会に必ず相談にくるようになった。
国民にとって、保険に入れれば広く利益を分配できるものについては、できるだけ保険に入れていく。
我々が保険に入れようと解釈したら、中医協の議論の場に提示して、考え方を求めていくというシステムを作っていくとう状況になりつつある。
例えば糖尿病の経口薬の市場は2000億円であるが、新しい糖尿病薬が約半分の1000億円であるが、それを新しい技術として導入していく。
市場の拡大である。
三塚代議員 インプラント、歯槽骨造成の問題を含め、会員に対する何らかの情報提供も必要だ。
また、会員が何を考えているのか、会員にアンケートをとる考えはあるのか。
大久保会長 この問題はややっこしく、私が地区に行って資料で説明すると、大変よく分かったと言われるが、多分、紙で情報提供をしても、なかなかご理解をいただけないと思うがやっていきたい。
また、選定療養については、例の55年の歯科管理官通知もあり、非常にこれは微妙な問題がある。
先走るとかえって混乱をするので、きちんと整理をして対応したい。
選定療養について、我々の考えが決まった時点で会員アンケートもしたい。
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