山口県保険医協会歯科部会が歯科技工士会との懇談

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山口県保険医協会歯科部会では、8年ぶりに歯科技工士会との懇談を行いました。

政府の低医療費政策のもとで繰り返される診療報酬のマイナス改定は、歯科医療機関の経営に重大な影響を及ぼしており、そこに従事する人たちの生活はもちろん、歯科医療を受ける国民にとっても不幸な事態を招いています。

懇談は、まさに歯科医療崩壊の真っ只中におかれる両会の間で、忌憚ない意見交換の場となりました。

 懇談には歯科技工士会より、磯村会長、藤井副会長、登城専務理事、新村理事の4名が、当会からは緒方歯科部会長ほか4名の幹事が出席しました。

両会の代表者による挨拶の後、当会より深井幹事が、最近行った当会会員アンケートに示された歯科医の現状や意見を紹介し、下がり続ける国民医療費に占める歯科医療費の割合や、私立歯科大の定員割れ問題、さらには他協会紙の内容を参考にして、歯科技工士の現状(歯科技工士実態調査報告と海外技工問題)など、最近の歯科医療をめぐる特徴的な諸問題について話題提供を行いました。

これに対して歯科技工士会の磯村会長からは、「現時点での大きな問題は、技工物の海外発注問題だ」として、「山口県でも海外発注はあると聞いているが、実態把握はできていない。

行政も具体的な調査は考えていないようであり、どう対応すればよいかご意見を伺いたい」との意見が出され、海外技工問題を中心に意見交換が行われました。

 海外技工物については、保険適用のものも含めて広がってきていることから、非常に安価な海外技工物の流入による、国内の中小歯科技工所の危機感が示されるとともに、海外技工訴訟も話題となり、①国内で技工物を取扱えるのは有資格者(歯科医、歯科技工士)のみであるにもかかわらず、海外の場合は無資格者でも製作できていることから、歯科技工士の資格が脅かされていること(資格の保全と権利)、②国内では薬事法上の認可を受けた材料等を使用することが前提だが、海外(とくに中国)ではそうした規制はなく、国民の健康が脅かされること(口腔内の安全と健康保持)が争点となっていることが、歯科技工士会より説明されました。

これに対して協会から、昨年実施した「海外技工物調査」をもとに、県内の歯科医療機関で海外に技工物を依頼したことがあるのは2件、9割近くが「海外技工物の利用」は考えていないとの回答だったことを紹介。

その上で、「技工物の質の問題は重要であるし、地元の技工所との信頼関係があれば、いかに安価な技工物が海外から入ってきても、問題ないのではないか」等の意見が出されました。

歯科技工士会からは「海外発注を歯科医院が直接行うケースはほとんどない(とくに保険診療に関して)と思うが、主に海外発注をしている大手のラボに歯科技工士会の影響力が及ばないのが現状である」「流通網の発展で、海外と言えどもさほど時間はかからず、発注から製作、納品までの時間については問題になっていない」「海外でどのような材料を使用しているのかは、チェックできないため不明である。保険医療機関と違って、技工所への保険に関する指導、監査体制はない」など、改めて海外技工に係る問題点が示されました。

 こうした意見交換の中で、根本は保険医療制度の問題であることが指摘され、「保険でよい歯科医療を」という当会の取組みを紹介しながら、そうした活動を歯科医療関係者が協力して進めていくよう当会から求めました。

その上で、①技工料金を定額で設定する(最低価格を決定する)こと、②技工所から技工料の直接請求を認める(保険技工所を創設する)こと、等が検討すべき課題であると双方が同意し、今後も必要に応じて懇談会を開催するなど、意見交換を継続していくことが確認されました。

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