大地震でジャーナリスト、医療者はどう動いたか 2)
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既報のとおり4月16日、東京・市ヶ谷「アルカディア市ヶ谷」で、緊急公開シンポジウム「大地震でジャーナリスト、医療者はどう動いたか—被災地からのレポート」が開かれた。
無料であったが、会場で義援金を募り、被災地に届けることなった。
モデレータは、水巻中正さん(国際医療福祉大学大学院教授)と田辺功さん(医療ジャーナリスト、元朝日新聞編集委員)。
今回のシンポジウムは、日本医学ジャーナリスト協会が企画した。
パネリストは、日本歯科医師会常務理事の柳川忠廣さんや前野一雄さん(読売新聞編集委員、穴澤鉄男さん(仙台在住、元河北新聞編集委員)、安藤高朗さん(医師、永生病院理事長)、池谷千尋さん(看護師、キャンナス焼津代表)などの方々。
モデレータ:田辺功さん(医療ジャーナリスト)
私が一番ビックリしたのは、2人の看護師さんの報告であった。
避難所で、文明国の日本でそんなことが起こっていいのか、ということへの怒りである。
もう一度、改めて言ってほしい。
石井美恵子(看護師)
これは、みなさんに是非誤解してほしくないので言うが、行政の責任だとか政府の責任だという、そんな問題ではない。
みんな、(福島原発)あそこが危険だと分かっている。
ではどうして、強制的に動かす力があるのか。
その法律がない。
そして、住民たちはそこに、危険な場所にいたいとのぞんでいる。
だけれど、私たちがその人たちに対する支援を止めてしまったら、食べるものもない。
そして、水道もない、ガスもない、電気もないという生活がずうっとつづく。
みんな、このままではいけないと分かっている。
でも、それを動かす何ものもこの国にはない。
それが問題であり、危機管理システムをもたないし、既知のことでしか行政も政府も我々医療担当者も対応できないでいる。
そのことが気がかりだ。
また、支援者側にも色々な問題がある。
私も現場の中にいるので、今、目の前のその人のことを考えて動くしかない。
その動いている間に、何でこうなるのか、どうしてこうなっているのか、をヒシヒシと感じながらその場限りのことをしている。
田辺
原発事故の災害について、誰が責任をもって対応しているのか?
全般の統括は、政府がやっていると思うが、本当なのか?
前野一雄さん(読売新聞編集委員)
本来なら、総理がやらなければならないが、実行部隊としては、厚生労働省になると思う。
私が見る限り、その機能を厚生労働省は有していないと思う。
日本の今日のシステムは、平時におけるシステムだ。
その平時におけるシステムを、こういう有事の時にその場に適用しようとする。
未だにそのことをしている。
それをしなければいけない事態なのに、それをしていない。
あらゆる発想をできる人がいて、やれという人はいるはずだ。
それに基づいてやるべきなのに、なかなか動かない。
本来の日本の官僚機構云々という問題もあるが、もう少し現場と連携すべきであるが、それができていない。
田辺
会場から意見は?
お役所の方とか、スタッフの方、こういうことをご存知の方はいれば、会場から発言してほしい。
本田宏さん(埼玉県済生会栗橋病院・副院長)
よくご存知ではないが、現実の医療現場でさえ平時でも情報がとれていないのが現実だ。
このような災害の時に、情報がとれないのは当然だと思う。
情報をきちんととることにお金をかけるべきだ。
田辺
私も同感であるが、パネラーの方どうか?
穴澤鉄男さん(仙台在住、元河北新聞編集委員)
さきほどの報告を補うが、私は二つの側面があると思う。
避難上の運営でうまくいっているところと、うまくいっていないところにきちんと分かれてくる。
学校の先生では、専門バカの校長ときちんと現場を知っている校長がいた。
うまくいっている避難所では、避難民のリーダーを決めて運用させている。
そのような仕組を作る必要がある。
何でもお役所の人が世話をする避難所もある。
小さいことではあるが、世の中のことをよく知っている校長とそうでない校長との差がでた。
今回の報道で、あまりふれられていないが、大きな災害では必ず下水道が大きなダメージを受ける。
今は薬で処理して流している。
日本は下水道を巨大システムでやってきた。
仙台市などもそうであるが、もっと個別、分散的なシステムでやっていく。
水道も一系統だけでやる、という発想を切り替えるべきだ。
細かく分散しておく。
とりあえず、この区域は復旧させる、そのようなことをやっていかないので、仙台市はまだガスは全面的に復旧していない。
前田さん
ある避難所の学校へ医療の支援隊が入った。
そこへ教育のトップの人が来てクレームをつけた。
「ここは、教育をする場であって、医療をする場ではない。出て行けといったことで、非難をされた事例があった。
何を考えているのか、と思うわけだ。
本来機能すべきものが、できなかった。
一方、神戸大震災、中越地震の体験が活かされうまくいった例もあった。
これからはシステムを活かすことが問われると思う。
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