外来管理加算5分ルールの財政影響試算

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診療所で1千億円超、病院でも133億円の影響—外来管理加算の意義付けの見直しの影響調査結果速報 (中医協診療報酬改定結果検証部会)及び厚生労働省「平成19年社会医療診療行為別調査」より—                           平成21年3月26日                           全国保険医団体連合会                           会長 住江 憲勇 平成20年4月の診療報酬改定で外来管理加算の算定要件に「概ね5分以上の診察時間」(所謂5分ルール)が導入された。3月18日の中医協診療報酬改定結果検証部会で外来管理加算の意義付けの見直しの影響調査結果が報告された。同調査は平成20年11月に全国の病院の中から無作為抽出した1,500 施設、全国の一般診療所の中から無作為抽出した2,000 施設及び上記対象施設に調査日に来院した患者を対象として実施されたものである。 調査結果によれば診療所の再診患者に対する外来管理加算の算定割合は診療所で41.0%、病院で41.1%であった。 この数値と厚生労働省「平成19年 社会医療診療行為別調査」より求めた改正前の算定割合を使って試算した5分ルールの財政影響(年換算、別紙)は、20年7月に実施した保団連の全国影響調査、20年11月に日本医師会が実施した影響調査の試算値を大きく上回り、診療所で1,013億円、病院133億円、合計1,146億円に達した。 これは平成20年2月の中医協における「外来管理加算とデジタル加算合わせて約200億円強」という原壽徳(前)医療課長の予測を遥かに凌駕するものである。診療所のみならず、本来財源移譲されるべき中小病院への影響も計り知れない。 これだけの財政影響を及ぼしながら、患者側の意識はどのように変容したのか。検証部会の患者調査結果によれば、「診察時間の長さ」は、「ちょうどよい」が「算定あり」で85.6%、「算定なし」で87.0%。「診療内容に対する満足度」では、「とても満足している+満足している」が「算定あり」で87.2%、「算定なし」で83.2%。 「外来管理加算の時間の目安」については「時間の目安は必要でない」が「算定あり」で54.4%、「算定なし」で57.6%。「必要だ」は「算定あり」で34.4%、「算定なし」で33.1%。「算定あり」と「算定なし」では、ほとんど差がなかった。 懇切丁寧な説明は医療の基本であり、制度で強要されるものではない。患者が求めるものは、正確な診断と的確な医療計画、そして納得のいく説明である。医療の質は時間では計れない。 平成20年診療報酬改定から早や一年が経過しようとしている。当会は1千億円超の影響を及ぼし、患者側からも「必要でない」という外来管理加算5分ルールの一刻も早い撤廃を求めるものである。
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