口腔は外部に開い器官でさまざまな微生物の侵入口

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NPO法人歯科医療情報推進機構シンポジウム

  「今後の歯科医療を変えよう!」(中)

歯科医療における科学的検査の必要性について

生田図南さん(一般社団法人国際歯周内科科学研究会代表理事)

 口腔は外部に開いた器官であるために、さまざまな微生物の侵入口となっている。微生物の侵入、定着を防止するために口腔内の微生物の状態を正常なきれいな状態に保つことは、非常に重要であると思われる。もし、多数の齲蝕歯があったり、歯周病患者のように非常に汚染された口腔内微生物叢であれば当然、外来から感染微生物の侵入、定着を受け安いと考えられる。そのことはさまざまな内科的疾患の引き金になることは容易に想像できる。また、歯科医療は観血処置が多く、まさに外科治療である。 ところが、歯科では患者の血液検査を行っていない。事前の血液検査を行い患者の全身状態を把握することは、術者、患者サイドの安全のために、院内感染を防止するという観点からも極めて重要なことではないかと思われる。 日本での新たなC型肝炎の感染者は、人口10万人当たり年間2〜3人出ているが、その感染経路に歯科が関与しているというマスコミ報道もある。 さらにHIVの患者の急増やATLウイルスの都会地域での感染急増などの問題もある。 しかし、歯科は遅れている。歯科における院内感染防止対策の完全実施は急務であると考えられる。口腔内に入る全ての歯科器械器具は、滅菌をすべきである。少なくとも患者ごとのタービンエンジンなどの完全滅菌を歯科医院においては、初診、再診時の加算点数は必要不可欠であると思われる。 しかし、厚生労働省は現在の保険点数に治療器具の滅菌に関する諸経費に関しては、すでに含まれているという見解である。歯科治療を完全にしるためには、血液検査や唾液検査は必要である。医科では検査は当然行われている。歯科も外部の検査機関に検査を依頼し、検査の証拠を残すべきである。口腔内の菌は血管に入り、全身に回る。高齢者は免疫力が低下しており、体力もないので口腔内の細菌の影響を受けやすい。 体の悪い人は、口腔内の微生物の状態も悪い。もしかして、血液を介してその微生物が体中にばらまかれているかもしれない。そして、微生物は体に悪影響を及ぼしているかもしれない。歯周病と関連があるとされているのは、感染性の心疾患、動脈硬化、糖尿病、高脂血症、骨粗鬆、呼吸器系の疾患、早産、低体重児の出産などで、歯周病予防(コントロール)は重要である。

(以下、患者アンケートの結果を報告した。内科的疾患などが、どのように変化したかである。重症の歯周病と全身疾患の関連として、定期健診で80%は健康を感じていた。体調がよりよくなったが32%、変化なしが67%、治療が役立つが98%、心臓病、糖尿病、高血圧、胃腸病、腎臓病、肩こりなどの改善例が見られた)

<参考>

 歯周内科治療は位相差顕微鏡で、口の中に感染している細菌・真菌・原虫などを特定し、動画管理システムに記録しそれらの微生物に感受性のある薬剤を選択し、微生物叢を非常に綺麗な状態に改善することで歯周病を内科的に治す治療方法。 治療前の非常に汚れた微生物叢が治療後は非常に短期間で綺麗に改善し、術前・術後の状態が一目瞭然に画像で示されるという利点があることが知られてい。 また、はっきりと自覚できる程、歯茎からの出血や排膿が短期間で改善される。以前は、長時間歯磨きや外科治療によって1〜2年の治療期間でそのような綺麗な微 生物叢を獲得していた。微生物叢が改善されたら、歯石を除去する。その場合も、微生物叢が改善されていると、冷たいものがしみるというような症状が非常に少なくなることが知られている。 (なお、前歯においては短期間で歯茎が縮むので歯が伸びたような感覚が生じることがある。そのような場合には残念ながら通常の治療では元々骨が溶けている状態ですので改善は難しいようである。その場合は特殊な審美外科を行う必要があるかもしれない。) 私たち会員はこのような画期的効果をもつ歯周内科治療を更に開発し、普及し、教育訓練し、ひいては誰でも治療を受けられるように保険償還上の位置づけを確立することを目指している。  歯周内科治療は位相差顕微鏡・動画管理システム(PDF)を有する施設で実施されている。

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