医療と介護の新戦略 歯科医師・寒竹郁夫さんに聞く

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民主党は8月29日、菅直人首相の後継代表を決める代表選挙を行った結果、野田佳彦財務相(54)が選出された。野田佳彦新代表と高校が同級生である歯科医師・寒竹郁夫さんは、8月30日以降、マスコミなどの対応に追われる立場となった。

取材での開口一番、「友だちが総理大臣になる、ということは大変なことなのだと思いました」と述べた。

連日、テレビ、新聞、雑誌等の取材が殺到したそうである。

 — 友人の立場から見て、野田さんはどのような人でしょうか?

寒竹 一言で言うと、何を考えているのか分からないですね。

それはみんな同じ印象だと思います。

側近であっても、何を考えているのか分からないと言っています。

これから何をやるかのよって、あいつはやはり凄い!と評価されるのかどうかです。

大石 内蔵助なのか、単なる昼行灯なのか、差がでてくるのではないでしょうか。

—政治的センスはどうでしょうか?

寒竹 政治と言うよりは、政治家のセンスでここまで来てしまったのですから、ぶれることはないと思います。

ですが、行政のトップとして、力量は未知数です。

これまでの野党の時代、財務大臣の立場と総理大臣の立場とはまったく違います。

財務大臣としては、菅首相の言いなりであったかもしれません。

ここで、はじめて自分が日本のリーダとなって、政治家としての手腕が分かるのではないかと思います。

当然、新たなビジョンも打ち出さなければなりません。

抱えるスタッフの問題もあります。

現在、民主党執行部の人選では、調整型というイメージがついてしまったと思います。

— ところで、これが本質的な質問ですが野田さんは、医療に対して理解をもっているのでしょうか?

寒竹 自ら打ち出した新成長戦略を実行したい、と言っています。

これは、元気な日本の復活戦略です。

新成長戦略の第一はグリーンイノベーションです。

環境とエネルギー問題であり、第二がライフイノベーションで日本を健康大国にする。

社会保障は少子・高齢社会化で厳しい。

しかし、分かりやすく言うと、社会保障を産業化するということです。

社会保障は国もコストではなく、雇用を創出し、納税を達成する産業にする。

医療と介護についての新戦略であり、具体的には医療と介護の産業化です。

しかも、アジアに対してグローバルに展開する。

それを実行すると言っています。

— その具体的方向は?

寒竹 基本的には、理念、概念の問題であり、医療と介護の民営化の方向となります。

企業の医療への参入を条件つきで認める。

つまり規制を緩和することです。

全面的は緩和ではなく、医療法人に企業が投資できるようにすることです。

あくまで専門家である医師、歯科医師は医療法人のトップであり、企業が出資をし、社員を経営に送り込めようにする。

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<参考>

大石 内蔵助(良雄)は、播磨国赤穂藩の筆頭家老。元禄赤穂事件で名を上げ、これを題材とした人形浄瑠璃・歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』で有名になった。

ひる‐あんどん【昼行灯】日中に行灯をともしても、うすぼんやりとしているところから、ぼんやりした人、役に立たない人をあざけっていう語。

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<取材後記>

賛否両論があるが、医療と介護を成長戦略に組み込むことは、一考に価する

世界に冠たる「国民皆保険」は、医療費削減のもとで綻び、医療崩壊へ向かっている。

医療従事者の善意で支えられているのが、現実の医療界の姿である。

だが、善意には限度がある。

夢と希望がない医療界は確実に衰退する。

なぜなら、新しい有能な人材が育つ土壌ではないからだ。

であるなら、医療の枠組みを変える方向も必然ではないだろうか?

医療と介護をどうするのか?

国民的な論議が期待される。

(山本嗣信)

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