医療、福祉は6.9%減と減少 5月月例労働経済報告

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就業者数 医療,福祉は同6万人増

1概況(1)一般経済の概況景気は、厳しい状況にあるものの、このところ悪化のテンポが緩やかになっている。・輸出、生産は、下げ止まりつつある。・企業収益は、極めて大幅に減少している。設備投資は、減少している。・雇用情勢は、急速に悪化しており、厳しい状況にある。・個人消費は、緩やかに減少している。先行きについては、当面、雇用情勢が悪化するなかで、厳しい状況が続くとみられるものの、対外経済環境における改善の動きや在庫調整圧力の低下、経済対策の効果が景気を下支えすることが期待される。一方、生産活動が極めて低い水準にあることなどから、雇用情勢の一層の悪化が懸念される。加えて、世界的な金融危機の影響や世界景気の下振れ懸念など、景気をさらに下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。(2)労働経済の概況労働経済面をみると、雇用情勢は、急速に悪化しており、厳しい状況にある。・完全失業率は、平成21年3月は前月差0.4ポイント上昇し、4.8%となった。・15〜24歳層の完全失業率は、上昇している。・新規求人数は、大幅に減少している。・有効求人倍率は、大幅に低下している。・雇用者数は減少している。・製造業の残業時間は、減少している。・定期給与、現金給与総額は減少している。2一般経済(1)鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、下げ止まりつつある。2009年3月の鉱工業生産(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、1.6%増と6か月ぶりに上昇した。業種別にみると、2009年3月は電子部品・デバイス工業、一般機械工業、輸送機械工業等が上昇し、鉄鋼業、その他工業、金属製品工業等が低下した。出荷は前月比1.5%増と上昇した。在庫は前月比3.6%減と低下した。今後の動向については、製造工業生産予測調査によると、製造工業生産は4月4.3%増の後、5月は6.1%増となっている。先行きについては、在庫調整が進展してきたことから、当面、持ち直していくことが期待される。(2)最終需要の動向をみると、[1]個人消費は、緩やかに減少している。二人以上の世帯の実質消費支出(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、2月0.3%増の後、3月0.2%減となった。うち勤労者世帯では、2月4.0%増の後、3月0.2%増となった。勤労者世帯の平均消費性向(季節調整値)は2月75.5%の後、3月75.5%となった。 消費者態度指数の推移をみると、2009年1〜3月期(季節調整済前期差)は1.5ポイント上昇し、28.4となった。なお、4月(原数値前年同月差)は2.8ポイント低下し、32.4となった。3月の小売業販売額(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、1.0%減、大型小売店販売額は2.4%減となった。また、乗用車(軽を含む)の新車登録台数(原数値前年同月比)は、3月24.5%減の後、4月22.8%減となった。先行きについては、雇用・所得環境の悪化などから、当面、弱い動きが続くと見込まれる。また、新型インフルエンザ問題の影響を注視する必要がある。[2]設備投資は、減少している。財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資は、2008年7〜9月期季節調整済前期比5.1%減の後、2008年10〜12月期同6.9%減(うち製造業同8.8%減、非製造業同5.5%減)となっており、全産業、製造業、非製造業で減少している。今後の動向については、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)をみると、全規模の2008年度の設備投資計画(前年度比)は、全産業で5.4%減、製造業は4.3%減、非製造業は6.0%減となっている(第4表)。また、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で2009年2月は0.6%増の後、3月は1.3%減となっている。国土交通省「建築着工統計」による非居住用建築物(民間)の工事予定額をみると、2009年2月は季節調整済前月比10.9%増の後、3月は同17.6%減となっている。先行きについては、企業収益が極めて大幅に減少し、世界景気の下振れ懸念など先行き不透明感が高いなかで、企業の設備投資計画においても大幅な減少が見込まれており、一層の減少が懸念される。[3]住宅建設は、減少している。新設住宅着工総戸数をみると、2009年2月は季節調整済前月比9.5%減、3月は同2.6%増の7.4万戸(年率88.8万戸)と3か月ぶりに増加した。新設住宅着工床面積は、2009年2月は季節調整済前月比6.0%減の後、3月は同2.2%減となった。先行きについては、雇用・所得環境の悪化などから、当面、減少傾向が続くと見込まれる。[4]公共投資は、平成20年度補正予算の効果もあって、このところ底堅い動きとなっている。公共機関からの建設工事受注額は、前年同月比で、2009年2月は4.9%減の後、3月は18.1%増となった。また、公共工事請負金額(「公共工事前払金保証統計」)をみると、2009年3月は前年同月比15.3%増の後、4月は同20.5%増となっている。先行きについては、関連予算の執行により、強めの動きとなることが見込まれる。[5]輸出は、下げ止まりつつある。通関輸出(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で2009年2月は2.2%減の後 、3月は3.1%増となっており、四半期別では、2008年10〜12月期16.8%減の後、2009年1〜3月期26.6%減となった。地域別には、アジア向けの輸出は持ち直しの動きがみられる。アメリカ向け、EU向けは、ともに減少している。先行きについては、世界的な在庫調整の進展や中国等における景気刺激策の効果の発現などが、当面、輸出を下支えする要因になるとみられる。輸入は、減少している。通関輸入(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で2009年2月は16.5%減の後、2009年3月は0.8%減となっており、四半期別では、2008年10〜12月期4.7%減の後、2009年1〜3月期13.4%減となった。地域別には、 アジア、アメリカ、EUからの輸入は、ともに減少している。(3)国内企業物価は、緩やかに下落している。消費者物価は、横ばいとなっている。4月の国内企業物価(速報)は、前月比0.4%下落(前年同月比3.8%下落)となり、輸出物価は同1.6%上昇(同8.4%下落)、輸入物価は同0.8%上昇(同23.9%下落)となった。3月の消費者物価は、総合が前年同月比0.3%下落(前月比0.3%上昇)となり、生鮮食品を除く総合は同0.1%下落(同0.3%上昇)となった。先行きについては、消費者物価(コアコア)は、当面、横ばい圏内で推移すると見込まれる。ただし、個人消費が緩やかに減少していることなど、物価の下押し圧力が存在することに留意する必要がある。(4)企業収益は、極めて大幅に減少している。また、企業の業況判断は、極めて大幅に悪化している。倒産件数は、このところ増勢が鈍化している。財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、四半期別前年同期比で、2008年7〜9月期22.4%減の後、2008年10〜12月期64.1%減(製造業94.3%減、非製造業35.0%減)、季節調整値で2008年7〜9月期33.1%減の後、2008年10〜12月期40.9%減(製造業83.2%減、非製造業20.1%減)となった。また、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)によれば、企業の全規模の2009年度の経常利益計画(前年度比)は、2009年度通期では全産業9.0%の減益、製造業22.2%の減益、非製造業2.9%の減益となっている。なお、2009年度上期では、全産業35.0%の減益、製造業53.0%の減益、非製造業19.0%の減益の後、下期では全産業60.5%の増益、製造業は利益、非製造業17.7%の増益が見込まれている。企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)をみると、規模計で、全産業 −46ポイント(22ポイント悪化)、製造業 −57ポイント(32ポイント悪化)、非製造業−38ポイント(15ポイント悪化)となっており、全産業、製造業、非製造業のいずれもで悪化となっている(第9表)。倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は、2009年4月1,329件で、前年同月比9.3%増となった。(5)2009年1〜3月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季節調整済前期比4.0%減(年率15.2%減)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は2.6%減、財貨・サービスの純輸出の寄与度は1.4%減となった。また、名目GDPの成長率は季節調整済前期比2.9%減となった。3雇用・失業(1)[1]3月の就業者数(季節調整値)は、2ヶ月連続で前月差で減少した。就業者数(季節調整値)は、2月に前月差22万人減となった後、3月は同62万人減と減少し、6,311万人(原数値は6,245万人、前年同月差91万人減)となった。男女別には、男性が3,673万人(前月差25万人減)、女性が2,639万人(同37万人減)となった。3月の雇用者数(季節調整値)は、4ヶ月連続で前月差で減少した。雇用者数(季節調整値)は、2月に前月差17万人減となった後、3月は同47万人減と減少し、5,463万人(原数値は5,425万人、前年同月差51万人減)となった(第13図)。男女別には、男性が3,161万人(前月差29万人減)、女性が2,302万人(同19万人減)となった(第11表)。雇用形態別(原数値)にみると、常雇が4,713万人(前年同月差25万人減)、臨時雇が606万人(同25万人増)、日雇が106万人(同1万人増)となった。3月の常用雇用指数(事業所規模5人以上、季節調整済値、確報)は、前月比0.1%減となった。また、一般とパートの別にみると、一般労働者は同0.9%減、パートタイム労働者は同2.0%減となった。[2]3月の完全失業率(季節調整値)は、2ヶ月連続で前月差で上昇した。完全失業率(季節調整値)は、2月に前月差0.3ポイント上昇の4.4%となった後、3月は前月差0.4ポイント上昇の4.8%(原数値は5.1%、前年同月差1.0ポイント上昇)となった。男女別には、男性が4.9%(前月差0.5ポイント上昇)、女性が4.7%(同0.3ポイント上昇)となった。3月の完全失業者数(季節調整値)は、2ヶ月連続で前月差で増加した。完全失業者数(季節調整値)は、2月に前月差19万人増となった後、3月は前月差25万人増の320万人(原数値は335万人、前年同月差67万人増)となった。男女別には、男性が189万人(前月差18万人増)、女性が131万人(同6万人増)となった。なお、求職理由別(原数値)にみると、3月は非自発的理由による離職失業者は134万人(前年差52万人増)、自発的理由による離職失業者は103万人(同8万人増)、学卒未就職者は16万人(同2万人増)、その他の理由による失業者は77万人(同6万人増)となった。[3]3月の労働力人口(季節調整値)は、2ヶ月連続で前月差で減少した。労働力人口(季節調整値)は、 2月に前月差1万人減となった後、3月は同36万人減と減少し、 6,634万人(原数値は6,580万人、前年同月差24万人減)となった。3月の非労働力人口(季節調整値)は、2ヶ月連続で前月差で増加した。非労働力人口(季節調整値)は、2月に前月差2万人増となった後、3月は同32万人増と増加し、4,406万人(原数値は4,463万人、前年同月差26万人増)となった。男女別には、男性が1,475万人(前月差6万人増)、女性が2,931万人(前月差25万人増)となった。労働力人口比率(原数値)は、3月は59.6%(前年同月差0.2ポイント低下)となった。男女別には、男性が72.0%(同0.4ポイント低下)、女性が47.9%(前年と同水準)となった。就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合、原数値)は、3月は56.5%(前年同月差0.8ポイント低下)となった。(2)有効求人数(季節調整値)は、前月比7.9%減と10ヶ月連続で減少した。有効求職者数(季節調整値)は、前月4.6%増と11ヶ月連続で増加した。3月の有効求人倍率(季節調整値)は、0.52倍と前月より0.07ポイント低下した。新規求人数(季節調整値)は、前月比2.3%減と3ヶ月連続で減少した。新規求職者数(季節調整値)は、前月比1.5%減と6ヶ月ぶりに減少した。3月の新規求人倍率(季節調整値)は、0.76倍と前月より0.01ポイント低下した(第12表)。正社員の有効求人倍率は、0.32倍(前年同月差0.28ポイント低下)となった。新規求人(季節調整値)を一般(除パート)とパートの別でみると、3月は一般は前月比 5.4%減と3ヶ月連続で減少し、パートについては同3.2%増と3ヶ月ぶりに増加した。新規求職者数(季節調整値)は、一般は前月比2.0%減と11ヶ月ぶりに減少し、パートについては同1.9%増と2ヶ月連続で増加した。(3)産業別にみると、3月の就業者数(原数値)は、運輸業,郵便業は前年同月差16万人増、教育,学習支援業は同10万人増、情報通信業は同8万人増、医療,福祉は同6万人増、宿泊業,飲食サービス業は同4万人増と増加したのに対し、製造業は同42万人減、卸売・小売業は同36万人減、建設業は同20万人減、その他サービス業は同16万人減、学術研究,専門・技術サービス業は同5万人減と減少した。なお、生活関連サービス業,娯楽業は前年と同水準であった。また、 3月の新規求人(原数値)は、教育,学習支援業で前年同月比4.5%増と増加したのに対し、製造業は同55.9%減、情報通信業は同36.9%減、サービス業は同24.7%減、卸売・小売業は同24.2%減、建設業は同23.0%減、運輸業は同21.9%減、飲食店,宿泊業は同16.5%減、医療,福祉は同6.9%減と減少した。(4)雇用に先行して動くと考えられる指標についてみると、所定外労働時間(事業所規模5人以上、季節調整済指数、速報)は、製造業では2月に前月比15.4%減となった後、3月は同0.2%減、調査産業計では2月に前月比7.5%減となった後、3月は同0.6%減となった。日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)によると、雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全産業では20%ポイント(12月調査より16%ポイント上昇)となり、2四半期連続で過剰超過となった。厚生労働省「労働経済動向調査」によると、2008年10〜12月期に雇用調整を実施した事業所割合は35%となり2008年7〜9月期から19%ポイント上昇した。また、2009年1〜3月期に実施予定の事業所割合は41%、2009年4〜6月期に実施予定の事業所割合は36%となっている。4賃金・労働時間(1)3月の現金給与総額(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は273,163円で、前年同月比3.9%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比2.8%減、パートタイム労働者は同2.1%減となった。内訳をみると、所定内給与は前年同月比1.4%減(一般労働者同0.3%減、パートタイム労働者同1.9%減)となったほか、所定外給与は同20.8%減、特別給与は同22.2%減となった(第16図)。また、きまって支給する給与は前年同月比2.9%減(一般労働者同1.9%減、パートタイム労働者同2.1%減)となった。(2)3月の総実労働時間(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は143.1時間で、前年同月比4.5%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比4.0%減、パートタイム労働者は同3.9%減となった。内訳をみると、所定内労働時間は134.1時間で前年同月比3.0%減(一般労働者同2.3%減、パートタイム労働者同3.5%減)、所定外労働時間は9.0時間で同22.7%減(一般労働者同22.4%減、パートタイム労働者同12.6%減)となった。なお、月間出勤日数は18.7日で前年同月差0.6%減となった。3月の製造業の所定外労働時間は8.9時間で、前年同月比48.9%減となった。規模別にみると、500人以上規模で前年同月比58.0%減、100〜499人規模で同46.8%減、30〜99人規模で同48.5%減、5〜29人規模で同41.5%減となった。

 

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