医師・歯科医師の裁量権と医療現場の実態を無視

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北海道保険医協会は5月30日、平成21年度定時総会を開いた。役員選挙では、小谷俊一会長が再選された。また、議案審議では、活動報告、活動方針、予算案などが承認された。

最後に以下の総会決議を満場一致で採択した。

<総会決議>

小泉政権以降、政府は構造改革の名のもとに、医療にまで市場原理主義を持ち込み、国民皆保険制度を形骸化させた。さらに財政危機を口実に社会保障費を毎年機械的に削減し、医療崩壊を加速させている。

 後期高齢者医療制度は医療を年齢で区別し、保険料負担増や資格証明書の発行など、高齢者の健康と生命に重大な影響を与えている。さらに都道府県を単位とする医療費適正化計画は地方分権を逆手にとり、国が本来守るべき国民の健康や医療への責任を地方自治体に転嫁し、地域間の健康・医療格差の増大を招くことは明白である。

08年診療報酬改定では4回連続の引き下げとなり、外来管理加算への時間要件導入など、医療現場を完全に無視した改悪により、医療機関は深刻な影響を受けている。さらにレセプトオンライン請求義務化は医療機関に大きな負担を押し付け、機械的審査を目的に診療報酬体系を簡素化して医師の裁量権を奪うことが懸念され、断じて容認できない。

百年に一度と言われる金融危機による未曾有の大不況の中、日々の生活や将来への不安で困窮している国民が今切望することは、暮らしと健康を最優先とする社会保障の充実である。政府は直ちに長年断行してきた医療費抑制策を中止し、公的医療費の総枠拡大と患者負担を軽減する政策に転換すべきである。

 以上より、北海道保険医会は第一線の地域医療を担う立場から、すべての国民が安心して良質な医療が受けられる国民皆保険制度の堅持と改善・充実を求めて、以下の如く決議する。

一、社会保障費削減の早期中止を求める。

一、患者負担を軽減し、公的医療費の総枠拡大を求める。

一、後期高齢者医療制度の廃止を求める。

一、良質で安全な医療を確保し提供するため診療報酬の改善・引き上げを求める。

一、レセプトオンライン請求完全義務化に反対する。

一、制限医療・格差医療に繋がる混合診療の解禁や保険免責制度の導入に

   断固反対する。

一、医師・歯科医師の裁量権と医療現場の実態を無視した審査、指導・監査

   体制に反対する。

一、医療機関の経営を圧迫する消費税増税に断固反対し、ゼロ税率の導入を求める。

 

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