北海道歯科医師会署名活動:道民への16万人署名活動の成果が意外な波紋

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北海道歯科医師会・同連盟が7月10日(日)〜8月10日(水)の1ヶ月間にわたり、道民が窓口負担の支払額を心配せずに治療を受け、早期発見・早期治療ができるよう保険治療の充実を図るため『請願署名運動』を実施した。その結果について、金井義明・日歯連携評議員(北海道)は「窓口負担を軽減し、保険のきく治療の範囲を拡大する国民歯科医療の推進」に関する請願署名(保留)について説明した。結果は、7月10日から8月10日までのわずか一ヶ月間により157,953名が集まったことの意義を強調し、連盟評議員に理解を求めていたが、その短期間でかつ約16万人の署名を集めたことが、日歯会員に様々な形で影響を与えたとされている。

日歯連盟評議委員会終了後、「今後、どのように展開していくか知らないが、少なくとも北海道歯科医師会の署名活動の意義は、認めるべきです。日歯に期待する課題もあるが、まずは、地方からの行動も必要だということを教えてくれたことは間違いない」(都歯会員)、「北海道という地域性があるのも事実ですが、"行動"することには共鳴しています」(神奈川県歯会員)などの意見も聞かれた。

この署名活動が意外な形で波紋を投げかけていることが関係者の取材などで明らかになってきた。特に、全国保険医団体連合会(保団連)・保険医協会では、複雑な反応を有しながら激しい議論がされているという。中でも話題になったが、請願項目がキーポイントになったという。具体的には、①安心して歯科医療が受けられるよう、現在3割の窓口負担を軽減してください。②保険のきく範囲を広げて、装着感のよい金属床の部分入れ歯や銀歯ではない自然な白い歯の被せ物など、保険外の治療を保険でできるようにしてください、というもの。さらに「北海道歯科医師会では、「私たち北海道歯科医師会の歯科医師は、道民とともに患者さんが窓口でのお金の支払いを心配せずに治療が受けられて、早期発見・早期治療ができるように保険治療の充実を願っています」と道民の視点に立ってのメッセージも巧みであったという。

保団連関係者の一人は次のように述べている。「日歯が、次期改定に向け、現実的な主張内容に固めたり、歯科医師会サイドがかつての保険医協会や保団連が得意としていたことを、歯科医師会が機動的に取り組み始めました。逆に、保険医協会や保団連のほうが硬直化して動きが取れなくなっている感があるのは否めません」と吐露している。さらに過日は、某県保険医協会所属の歯科医師は、仄聞した話と断った上だが「北海道歯科医師会が集めた患者署名数16万名は、保団連にとっても意外なことで、衝撃的な数字だったようです。歯科医師会が柔軟な戦術・対応を取り始めているが、的確・迅速な対応を旨としていた保団連・保険医協会の戦術・戦略が硬直化している傾向があるのは否定できません。この署名問題とは別件ですが、永田町への陳情活動も10年、20年前と全く変わりありません。陳情の効果の検証はなく、それは二の次で、陳情をしたことで満足していることはあります」と自らの経験から複雑な思いを示していた。前出の金井・連盟評議員は、保団連・保険医協会が既に同様な活動をしているが、連携することはなかったのかとの問いに「署名活動をしていることは承知しています。それは、保団連・保険医協会なりの考えの下で活動されています。道歯としては、全力で多くの道民に、期間を区切って理解を得て署名していただける努力をしていくということで、連携は考えませんでした。とにかく"集中して署名を集める"という考えで行ったものです」と一部背景を説明していた。

今回、北海道歯科医師会の署名活動が、保団連・協会の従来の活動への影響を与えた状況の一部が関係者の話で明らかになったが、その問題とは別に、本来の課題に戻せば、「受診時定額負担」「保険治療の拡充」など道民のニーズに応えたものと理解されている。地域事情が個別にあるものの、歯科界に一石を投じたことは間違いない署名活動であり、日歯としてあるいは、全国都府県歯がどのように対応していくか注目される。

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