がん治療前後、口腔ケア連携 信大病院と松本市歯科医師会
信濃毎日新聞から引用
信州大学医学部附属病院(松本市)は2012年度、がんなどの手術・治療の前後に行う「口腔(こうくう)ケア」で松本市歯科医師会と連携する事業を始める。
手術・治療前のケアで口の中の細菌を減らすと、術後の合併症を軽減できるが、信大病院だけでは人手が足りないなど限界があった。
市歯科医師会と患者情報を共有して役割分担し、必要な患者全てに口腔ケアを提供する態勢を整備。
この事業をモデルに県内全域に連携を広げる計画だ。
がんの手術や抗がん剤治療では肺炎や口腔感染といった合併症が現れることがあり、原因は、手術・治療による患者の免疫力の低下などを背景に、口の中の細菌が悪さをするためと考えられている。
このため、手術・治療前に口腔ケアをすると、合併症減少や入院日数短縮などの効果が確認されており、厚労省も12年度、手術・治療前後の口腔ケアに診療報酬を新設した。
ただ必要な患者全員にケアを行うには、信大病院だけではスタッフが足りない。
そこで、同病院特殊歯科・口腔外科(栗田浩教授)が市歯科医師会に呼び掛け、「信大病院がん患者等歯科医療連携協議会」の設立を決めた。
連携手順は、信大病院で手術・治療の予定が決まったら、主治医が特殊歯科・口腔外科の「口腔ケアセンター」に依頼。同センターが検査した上で管理計画を作り、患者に最寄りの連携歯科医療機関(開業歯科医)にケアを依頼する。
手術・治療が終わったら再度管理計画を作り、連携歯科医療機関に依頼する=図。
リスクが高い患者は特殊歯科・口腔外科に外来通院してもらう。
対象はがんの手術、放射線治療、抗がん剤治療に加え、臓器移植や心臓血管外科手術も含む。半年後をめどに範囲を中信地方に拡大。さらに信大病院以外の県内7カ所のがん診療連携拠点病院にも同様の仕組みを広げ、各地の歯科医師会と連携することで、県内全域でこのようなケアを実現したい考えだ。
信大病院は4月15日、開業歯科医を対象にしたシステムの概要などを説明する第1回講習会を開く。
連携歯科医療機関として、がんやがん治療についても理解を深めてもらう。
栗田教授は「口の中の細菌は糖尿病など慢性疾患にも関係している。
将来は慢性疾患にも広げたい」としている。
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