中医協 6月の「医療経済実態調査」は歯科に不利

日本歯科医師会の日本歯科総合研究機構が、中央社会保険医療協議会の「医療経済実態調査」について検証したことが、どこまで国の医療政策に反映されるのであろうか。歯科医師の5人に1人がワーキング・プアであることが、2007年の4・5月の週刊東洋経済で報道された。世間の人々が驚くほどの歯科界の惨状である。日本歯科総合研究機構が検証したところによると、「医療経済実態調査」は毎回6月の単月調査であり、歯科診療所の収支の実態を反映していないと思われた。歯科は、6月が「歯の衛生週間」であるため、通常月と比較すると、患者の受診率が高い。歯科診療所外来平均を100とすると6月はプラス6.7%。医科診療所外来平均を100とすると6月はプラス1.5%。そこで、"歯科診療所は意外といいではないか"と判断される結果となる。「医療経済実態調査」によると、平成11年から歯科の保険診療収入は年々減少いるにもかかわらず、医業費用は平成19年では増加していた。つまり、給与費をはじめ、歯科医院における諸経費の切り詰めるは限界に来ていることが明らかとなった。データを分析する時に問題となるのは、サンプルの扱いの妥当性である、と日本歯科総合研究機構は指摘している。サンプルが少ないことも問題となっている。つまり7500万円もの極端に収支差額が多い歯科診療所もサンプルに存在する。その一方では、収支差額が少ない層が増加している。 平成8年平均値は1522万円。平成18年平均値は1253万円。ここで問題となるのは、収支差額が多い歯科診療所が、平均値を高めていることである。平均値ではなく、中央値で見ると、平成8年中央値は1406万円。平成18年中央値は1072万円。以上の比較から、平成8年は歪度0.48、尖度1.27 平成18年は歪度1.41、尖度4.32 これは、平均値、平均値、最頻値の乖離を意味している。平成18年は平均値1253万円より中央値は1072万円が、実態に近いことを物語っていた。ところが、中央値の結果表などが削除されおり、実態が把握しにくくなっている、と日本歯科総合研究機構が指摘している。日歯はこの検証を踏まえて、「中央値の公表を行ってほしい」と要望している。また、1日当たりの来院患者数は、医科と同じ区分にせず、細分化してほしい、としている。「〜19人」ではなく、「〜19人」の区分が歯科では、ここが一番多くなっているので、この部分を細分化して集計してほしい、と指摘している。
記事提供

© Dentwave.com

この記事を見ている人がよく見ている記事

新着ピックアップ