「5 分ルール」 青森県保険医協会独自調査 結果

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中医協 「外来管理加算の意義付けの見直しの影響調査」に問題あり! 2009.3.18 青森県保険医協会はじめに 2008 年4 月に小児科、産科、勤務医等に手厚くなるようにと診療報酬が改定され、「外来管理加算」に「5 分ルール」が新設された。しかし、当初の目的とは逆に200 床未満の公的病院は「5 分ルール」によって医師の仕事量は増加したにもかかわらず減収となり、医療崩壊を加速する改訂となった。 2008 年11 月5 日に開催された中央社会保険医療協議会検証部会で「外来管理加算の意義付けの見直しの影響調査」が決まり、全国の3,500 医療機関、1 万4 千人の患者さんを対象に調査が行われた。しかし、調査項目、難解な質問内容が問題にされている他、医師数の違いなど地域格差が拡大している医療の現場への影響を表すには不十分な調査といわざるを得ない。そこで、本協会は青森県内の診療所・病院を対象に検証部会と同じアンケート調査を独自に実施し、さらに、診療所を受診している患者さんも対象にした調査も行った。 5 分ルール導入後の変化について「変わらない」が72%と最も多く、「比較できない」が16%、「長くなった」は8%、「相談することが多くなった」は5%と少なかった。待ち時間については、「変わらない」が65%と最も多く、「毎回違う」が23%で、「長くなった」と答えた患者さんは7%だった。本日の医師の説明については「十分/だいたい理解できた」が74%と多く、「いつも通りで納得している」も22%で、「あまり/全く理解できなかった」は2%だった。診療内容に満足しているかを聞いたところ、「とても満足している」「満足している」が85%をしめ、「不満/とても不満」はゼロだった。 考察 1. 患者票の質問、選択肢に多くの問題点がある。 ● 質問が理解できない「難問」.....低回答率をねらった?外来管理加算について、あなたのお考えに最も近いもの1 つに○をつけてください。また、実施してほしい内容を以下の<懇切丁寧な説明の項目>の中から選び(あてはまるものすべて)、あてはまる文字(ア〜キ)を( )内にお書きくださ い。この質問項目は難問で、質問自体が理解できない人が多い。試しに医療スタッフに質問してみても、質問内容を完全に理解したスタッフは1 割しかいなかった。当然、高齢者に調査票を手渡しただけでは、理解するのは相当困難と思われた。青森県の調査ではこの項目は質問していない。意図的に「難問」をつくり、反射的に一番上に丸を誘導したいのかもしれない。ちなみに、その答えは「通院毎にすべての項目を実施してほしい」となっている。 ● 患者さんに対する「待ち時間」に関する質問がある。待ち時間(診察までの待ち時間、会計の待ち時間は含みません)説明文も誤解を招く表現だが、設問自体に無理がある。一度診察を受けた後に、採血やレントゲン撮影などの検査を受け、その結果をあらためて聞く場合や、点滴や処置を受けその後にあらためて診察を受けることもある。本協会のアンケートでは「毎回違う」という項目を追加して質問したが、23%の人が「毎回違う」と答えた。 ● 患者さんの理解度を質問する項目がある。本日の診察で、医師の説明内容が理解できましたか。 ○は1 つだけ理解の程度を表した選択肢と「説明を受けていない」という選択肢があるが、青森県の調査では「いつも通りの説明で納得している」という選択肢を入れて質問したところ、22%の患者さんがこれを選択した。 ● 満足度を問う質問がある。 2-③ 診療内容に満足していますか。青森県でも同じ質問をしたが、「満足している」が85%で「不満」は0%だった。 ●丁寧の目安「丁寧」については、「4 月以降の身体診察が丁寧だったか?」「本日の身体診察が丁寧だったか?」と繰り返し質問している。また、懇切丁寧については「丁寧だったか?」と問うだけで、検証部会で要望された「客観的な尺度」の質問はない。 「5 分ルール」の早期撤廃を要求する 「5 分ルール」で医師の仕事量は増えるが、それは、患者さんのためではなく「ルールをクリアする」ためでしかない。その結果、地域によっては医師不足にますます拍車をかけることになり、患者さんの待ち時間がさらに長くなる。逆に、患者さんの待ち時間を優先すると病院の減収となり、どちらを選択しても医療崩壊へ向かうベクトルとなる。さらに、現場で日常的に行われている医療スタッフと患者さんとのコミュニケーションを結果的に否定したことも大きな問題だ。青森県保険医協会は医療崩壊を加速する「5 分ルール」の早期撤廃を要求する。
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