「関西医療特区」指定に経済界期待

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読売新聞 2013年10月19日 

国家戦略特区の検討方針が18日決まり、関西経済界では、関西が医療分野などの特区に指定され、規制改革が進むことへの期待が高まっている。政府は、年明けにも特区となる地域を指定する考えだが、医療分野などの改革は小幅にとどまるとの観測もあり、経済界は今後の議論を注視していく構えだ。(永田毅)

大阪商工会議所の佐藤茂雄(しげたか)会頭は、18日の記者会見で、「医療分野はずっと取り組んでいるので、ぜひ特区に盛り込んでもらうよう努力している」と期待を示した。

関西からの提案で目立つのは、医療や医薬に関する内容だ。

関西には、iPS細胞(人工多能性幹細胞)など世界最先端の研究を進める大学や企業が集積しているうえ、大型放射光施設「SPring—8(スプリング8)」(兵庫県佐用町)など研究に欠かせない機器や施設が充実している。

このため、関西経済連合会は、再生医療技術の確立や画期的な薬の開発に向けて、スプリング8などの施設を柔軟に利用できるよう規制の緩和を求めた。

関経連は、医療分野の研究開発や産業化の司令塔となる「日本版NIH」の中核機能を関西に設置することも求めている。米国立衛生研究所(NIH)をモデルに、中央省庁の縦割りを排して競争力強化を進める構想で、政府内で具体化に向けた検討が進んでいる。

関西経済界が国家戦略特区に期待するのは、大胆な規制緩和や税制の優遇措置などが地域の経済成長につながるとみているためだ。関西が強みを持つ医療・医薬分野を伸ばし、さらに幅広い健康関連商品などに拡大していきたい考えだ。

関経連は、関西の将来像を首都圏と並び立つ「日本の双発エンジンとしてリードする」(森詳介会長)と位置づけており、JR大阪駅北側の「うめきた」を拠点に国内外からヒトやモノを呼び込む計画も提案した。地権者の企業などが資金を出して地域の環境改善に取り組むまちづくり制度(BID制度)の全国初の導入も求めている。

現時点では、どの提案がどこまで採用されるかは予断を許さない。政府の検討方針では、特区での病床の新設・増床容認は「検討する」にとどまり、医療分野での規制改革は力強さに欠けている。むしろ、東京五輪を念頭に都心のマンションや高層ビルの開発を促す容積率や土地利用規制の緩和といった内容が目立つ。関西経済界は、医療分野が、日本経済の成長にとって重要であると政府に強く訴えていく必要がありそうだ。

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