「プラズマジェット」で痛くない虫歯治療
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3〜5年後には虫歯治療に応用!?
[2010年1月20日/HealthDay News]
ヘルスデージャパン
ドリルの代わりに「プラズマジェット」を利用した痛みのない歯科治療の実現する可能性が報告された。
ドイツ、ザールラントSaarland大学(ハンブルグ)の研究グループは、歯の象牙質(エナメル質の下層にある線維状の歯組織)に低温のプラズマビームを照射すると、歯の細菌を1万分の1まで減少できることを突き止めた。
この結果から、現在はドリルを用いている虫歯の感染組織の除去にプラズマジェットを利用できる可能性が示された。
プラズマには高温プラズマ(プラズマを構成する粒子すべての温度が高い状態、熱プラズマ)と、低温プラズマ(電子温度のみが高い)があり、金属の内部や蛍光灯の内部は低温プラズマと見なされる。
高温な熱プラズマは数万ケルビンにも及び、地球上のあらゆる物質を溶かしてしまうため、高融点の材料の開発が求められている。
なお、種々のプラズマにより、核融合、プラズマディスプレイ、溶接、プラズマロケット、カーボンナノチューブをはじめとする立体構造を持つ様々な機能・特性を備えたハイテク新素材の生成技術など、その応用分野は広い。
プラズマは原子レベルで制御ができるため、人間の目では見えない非常に細かい穴を掘る(エッチング)作業を行うことができる。
レーザーアブレーションは、固体材料に強力なレーザーを照射することで、固体材料を気化し高密度プラズマを得る技術である。
薄膜作成、クラスター生成、材料加工、医療、エネルギーなどの広範な分野で応用されている、最も発展的な分野のひとつである。
シリコンなどの半導体にイオンを注入する手法は以前からあったが、近年制御性に優れたプラズマイオンを照射する技術が確立されたことにより、さまざまな原子や分子を直接ターゲットに注入し、アルカリ金属内包ナノチューブをはじめとする新機能超分子構造物質の創製が可能になった。
磁化プラズマを用いる分野では、スパッタの技術によってさまざまな機能性薄膜の形成が試みられている。
高精度でプラズマを生成して制御する技術が確立した結果、従来よりもはるかに高品質のダイヤモンドを生成することにも成功している。
液中プラズマは、液体中でプラズマを発生させる技術である。
液体に超音波で気泡を発生させて、その気泡に電磁波を照射することでプラズマを発生させる。
周りが液体であるため、非常にたくさんの原料を溶液から供給することができ、さらに材料が高温に晒されて燃えるといったことなどがない利点を持つ。
そのためプラスチックや紙などの母材にも、さまざまな物質をメッキすることが可能になる。
今回の研究では、抜歯したヒト臼歯の象牙質に4種類の細菌を感染させた後、その象牙質にプラズマジェットを6、12、18秒のいずれかの時間照射した。
その結果、プラズマジェットの照射時間が長いほど、細菌の除去量が増加することが判明。
この研究は、医学誌「Journal of Medical Microbiology(医微生物学)」2月号に掲載された。
「歯をドリルで削る治療は極めて不快で、ときに痛みを伴う。
一方、コールドプラズマは完全に非接触型の治療であり、かつ極めて効果が高い」と、研究を率いた同大学のStefan Rupf博士は述べている。
Rupf氏によると、プラズマ医学の分野は現在「大きな前進」の過程にあり、「3〜5年後には虫歯治療に応用できることが期待される」という。
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