iPS細胞から歯を構成する「象牙芽細胞」を作り出す

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岩手医大解剖学講座の原田英光教授(50)と同大歯学部先進歯科医療研究センターの大津圭史研究員(38)は、万能細胞と呼ばれる人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、歯を構成する象牙質のもととなる「象牙芽(が)細胞」を作り出す技術を開発した。

さらに研究が進めば、患者自身の細胞から作ったiPS細胞を用いて歯を再生するなど新たな治療法確立につながる可能性もあり、注目を集めそうだ。

 

iPS細胞から歯を構成する細胞を作り出すことに成功(解剖学講座発生生物・再生医学分野)

2012年 1月 12日

 解剖学講座発生生物・再生医学分野の原田英光教授と先進歯科医療研究センターの大津圭史ポストドクターらは、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から歯のもととなる細胞を作り出す方法を確立し、その成果を「Stem Cells and Development」誌に発表しました(Differentiation of induced pluripotent stem cells into dental mesenchymal cells, in press)。

 iPS細胞は皮膚などの体細胞に少数の遺伝子を導入し、様々な細胞に分化する能力を獲得した細胞で、再生医療・創薬への応用が期待されています。

今回の論文で大津ポストドクターらは、iPS細胞が歯の象牙質を作る象牙芽細胞に分化することを世界で初めて示しました。

この中でiPS細胞は、何回かのステップに分け分化誘導を行うことで効率よく象牙芽細胞に分化することが明らかとなりました。

また、この細胞はマウスに移植しても癌化しないことから、再生医療に用いる際の安全性も示唆されました。

以上の研究成果は、岩手医科大学歯学部オープンリサーチプロジェクトの研究テーマより得られたものです。

 iPS細胞は患者さん自身の細胞から作ることができるため、今回の研究成果は、患者さん自身の細胞で歯を再生するという新たな歯科治療法の開発につながる可能性があります。

今後はiPS細胞から象牙芽細胞への分化の仕組みをさらに解明するとともに、iPS細胞を使った新しい歯の再生法の開発が進められる予定です。

2011.12.15 iPS細胞から歯の象牙芽細胞への分化誘導技術の開発に成功

iPS細胞から歯の象牙芽細胞への分化誘導技術の開発について

歯の表面はエナメル質でその内側は象牙質で作られており,エナメル質はエナメル芽細胞によって象牙質は象牙芽細胞で作られる。

本発明は iPS 細胞から象牙芽細胞の特性をもった細胞に分化誘導する技術を世界で始めて開発した。 

象牙芽細胞の祖先は外胚葉に由来する神経堤細胞であり,この細胞は歯胚の上皮細胞(エナメル質を作るもとの細胞)とふれあうことで歯胚の間葉細胞(歯を作る結合組織側の細胞)になり,その後象牙芽細胞となることが知られている。我々の発明した方法はまずiPS細胞を神経堤細胞に分化させ,その後、この神経堤細胞を歯胚上皮細胞と組み合わせて共培養することや、歯胚上皮細胞の培養上清を培地に加えたりすることでこの細胞が象牙芽細胞を含む歯原性間葉へと分化すること、また誘導した神経堤細胞の中からより象牙芽細胞へ分化する能力が強い細胞を見いだして,効率的にiPS細胞から象牙芽細胞へ分化誘導する方法を確立した。 

象牙芽細胞が生まれる過程で上皮細胞との非常に複雑な分化調節機構が働いているため,iPS細胞を象牙芽細胞へと分化させることは非常に困難であった。本発明は、段階的にiPS細胞を分化させることによってこの問題を克服し、象牙芽細胞を効率よく獲得することを可能にした。

 将来的には,歯の形成に関わる上皮細胞もiPS細胞から作ることが可能になれば,iPS細胞を使って歯を再生させることも可能になるだろう。

また,遺伝的に歯ができない患者様の研究モデルも作ることができ,今後の治療法開発にも生かせることができる。  

この研究は東北大学歯学研究科小児発達歯科学分野福本敏教授との共同研究で,Stem Cells & Developmentのon line版に発表されました。

岩手医科大学 統合基礎講座  

解剖学講座 発生生物・再生医学分野 

教授 原田 英光 

研究員 大津 圭史 

電話:019-651-5111(内線5880、5881)

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