毎日新聞 2013年10月9日(水)22時38分
診療報酬を不正請求したとして、愛知県犬山市の「医療法人松陽(しょうよう)会 松浦病院」が東海北陸厚生局から来年2月以降5年間、保険医療機関の指定取り消しを受けた問題で、松陽会は9日、保険診療ができなくなるため、病院を廃院する方針を示した。入院患者は95人(1日現在)で、他病院に病院事業を譲渡するか患者を転院させ、保険診療を継続して受けられるようにする意向。また同会が自主調査した結果、不正請求額は厚生局が指摘した約4億8990万円も含め総額17億5000万円に上る見通しと明らかにした。
松陽会の須賀敬理事長は9日、犬山市内で記者会見し、「診療報酬の請求を担当していた当時の事務長が(看護要員の夜勤時間など)請求に必要な基準を十分認識しておらず、チェック体制も働いていなかった。意図的な不正ではない」と説明した。また、厚生局が指摘した不正請求は診療報酬明細書が残っていた2011年2月〜12年8月の額だが、自主調査の結果、明細書が残っていない08年2月〜11年1月に約10億円、08年2月より前も約2億5000万円の不正請求があったとみられることを明らかにした。不正請求した診療報酬は返還するという。病院は1951年に開院し、現在は内科など10診療科がある。
東海北陸厚生局などによると、同局管内の不正請求による保険医療機関の取り消し処分は08年10月以降24件目。愛知県内では「医療法人豊岡会 岡崎三田病院」(岡崎市)が今年3月1日付で取り消し処分を受け、保険診療部門を廃止(介護診療部門は存続)した。
(花井武人、高橋昌紀)
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