デンタルサポート、食事の事故防止など指南 介護施設向け
日経電子版 2013年8月21日 配信
訪問歯科診療の支援サービスを手掛けるデンタルサポート(千葉市)は、細菌や食物が気道に入り起きる誤嚥(ごえん)性肺炎など介護施設での高齢者のリスクを軽減するサービスを本格化する。
高齢者の現状を把握する調査や施設の従業員向けのセミナーを実施。
2014年3月期中に首都圏で現在比4倍の60施設にサービスを提供する考えだ。
付加価値を訴え、本業の訪問歯科診療支援の顧客獲得につなげる。
今年4月、神奈川県内のグループホームでサービスを始めた。専用機器を持ち込み、入居者が誤嚥につながる姿勢かどうかを調査。食べ物を飲み込む嚥下(えんげ)機能が低下した高齢者の誤嚥や、転倒を防ぐ方法を介護施設の職員向けに指南する。
具体的には、高齢者が座った際に足や尻にかかる体重を調べたり、理学療法士らによるセミナーを実施したりする。セミナーは1回1時間程度で、誤嚥を防ぐ姿勢、食物の形態の工夫、嚥下に関係する体操、ひざの痛み対策など12コースを用意した。
基礎的な知識のセミナーや実地指導などは無料だが、それ以外のセミナーは有料で、いくつかのコースを組み合わせて数万円という。
現在、神奈川県を中心に、グループホームや有料老人ホームなど15の施設でサービスを提供しているが、14年3月期中に首都圏の60施設にサービスの提供先を広げたい方針だ。15年3月期には中部・関西地方をはじめとする全国での展開を検討する。
嚥下機能が低下した高齢者は、就寝中や食事の際に誤嚥性肺炎を引き起こすケースがある。11年には、日本人の死因で、脳血管疾患を上回り肺炎が第3位となった。肺炎で亡くなる人の95%以上を65歳以上が占め、そのうち7割以上が誤嚥性肺炎だとされる。
このため、グループホームや有料老人ホームなどの施設では、高齢者の嚥下障害を防ぐのが重要な課題になっている。デンタルサポートは、嚥下障害対策や転倒防止策を提供できることを訪問歯科診療の営業に役立てたい考えだ。
デンタルサポートは理学療法士や言語聴覚士などリハビリの専門家を約20人かかえ、現在、首都圏中心に14カ所のリハビリ特化型のデイサービス施設「トータルリハセンター」を展開している。
「訪問歯科診療で競合する各地の医療法人が同様の人材を抱えてサービスを提供するのは難しい」(デンタルサポート)といい、強みとしてアピールする。
同社は提携する8の医療法人などによる月間2万3千人の訪問歯科診療を支援している。そのうち、7割がグループホームなど施設の入居者だという。
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