<厚生労働省の2012年度医療費の動向(メディアス)より>
全国保険医団体連合会 政策部
医療経済実態調査の結果とは相反する結果が、厚生労働省の厚生労働省の2012年度医療費の動向(メディアス)から伺える。
医科診療所全体の1施設当たりの医療費の伸び率(対前年度比)は、わずか0.2%であり、診療科別では、内科-0.0%、小児科-5.3%、外科-0.2%、皮膚科-0.7%と、8診療科のうち、半数がマイナスである。
また、2008年の医科診療所伸び率0.2%と同率であるが、2008年(平成20年)改定(本体0.38%、医科0.42%)より、2012年(本体1.38%、医科11.55%)の上げ幅は大きかったにもかかわらじ、2008年改定程度しか伸びていない。
また、受診延べ日数の伸び率も悪化している。
医科診療全体の1施設当たりでみると、-1.0%、各科別でもマイナスが半数以上となっており、患者の受診減が現れている。
診療所の入院外医療費及び歯科医療費は、ほとんど伸びていない。
入院外医療費が伸びない理由について、「2010年度の改定で再診料が引き下げられたこと、外来1件当たり日数が減少している」こと、通院回数の減少は、「処方日数の長期化」が推察される(日医総研・前田由美子さん)。
本会は、2000年度から2012年度までの12年間のメディアス等をもとに分析した。
その結果、概要医療費は2000年度から2012年度までの12年間で9兆円増加したが、薬剤費の増分(包括医療費を含む)は、入院が2000億円、入院外が3兆円、これに特定保険医療材料費の増加分4000億円を加えると合計3兆6000億円となり、」概算医療費の伸び9兆円の40%を占めることから、医療費の高騰要因や高騰する薬剤費にあることは明白だと考える。
薬剤費高騰の背景にが、2000年代に入り、新薬の薬価算定時に、画期性や有用性などの補正加算率が徐々に大きく引き上げられてきていること、及び、その高く値付けされた薬価を高止まりさせる仕組みである「新薬創出等加算」の影響が大きいいと考える。
こうした高薬価構造を是正せず、また、メディアス等から分析される結果を見ないまま、診療報酬改定の検討を行えば、国民の健康と命を第一戦で守る地域の医療機関を守ることはできない。
記事提供
© Dentwave.com