日本医療安全調査機構の死亡事例調査事業、関係者から高評価
厚生政策情報センター 7月10日(水) 配信
診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業 平成24年度事業実施報告書(6/19)《日本医療安全調査機構》
日本医療安全調査機構は6月19日に、平成24年度「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」の報告書を公表した。
医療事故に起因した死亡事例を調査し、事故原因の究明・再発防止につなげる仕組みについて各所で検討が進められている。
厚生労働省の検討会でも、平成25年5月に報告書を取りまとめるなど、検討スピードが加速している状況だ。
機構のモデル事業は、まさに「診療行為に関連した死亡について原因を究明し、適切な対応策を立て医療の質と安全性を高めるとともに、調査・評価結果を患者・遺族・医療機関に提供することで医療の透明性の確保を図ること」を目的に行われているもの(p16参照)で、38の医学会、日本歯科医学会、日本看護系学会協議会、日本医療薬学会が協力している(p6参照)。
調査対象は「診療行為に関連した死亡についての死因究明と再発防止策を、中立的な第三者機関において専門的・学術的に検討することが妥当と判断された事例」で、医療機関からの申請に基づいて調査が行われる。
ただし、遺族の要望がある場合には、機構から医療機関に働きかけ、申請を促している(p16参照)。
24年度は32事例が調査対象となった(22年度は33事例、23年度は26事例)(p17〜p18参照)。主なものをあげると、次のような事例が目立つ(p20〜p21参照)。
下肢動脈バイパス吻合部狭窄に対する血管内治療後の出血死亡(80歳代・男性)シャント不全に対する経皮的血管形成術後の死亡(70歳代・女性)子宮摘出手術後6日目に重篤な症状なく腸穿孔・急性腹膜炎により突然死亡した3回の開腹手術既往のある事例(40歳代・女性)腹水穿刺ドレナージ施行後、翌日に死亡した再発乳がん患者の事例(60歳代・女性)入院中に家族と病院の関係が著しく悪化し、病院から家族に法的処置がとられた事例(90歳代・女性)耳鼻咽喉科治療行為としての耳管通気直後に心肺停止状態となり死亡した症例(10歳代・女性)
なお、モデル事業に対する関係者(遺族や医療機関など)の意見を見てみると、半数以上の遺族が「公平な評価と感じた」「評価結果報告書を理解できた」「知りたい内容が報告書に記載されていた」「利用してよかった」という意見であり、一定の評価が下されていることがわかる(p48〜p54参照)。
また、医療関係者では、「評価結果は妥当」「報告書の内容がわかりやすい」「利用してよかった」との意見が圧倒的に多く、高い評価が得られている(p55〜p79参照)。
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