自然な姿勢で歯科診療を行うべきである

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機会があったので、歯科大学生と一緒に授業に参加した。

11月15日、午後1時15分から午後2時45分まで。

明海大学歯学部社会保健講座口腔衛生学分野の授業に、3年生130名ほどが教室に集まっていた。

自分の学生時代のことが思い出された。

始業時間となり、竹下 玲准教授とともに岩間 總一郎さん(大阪府開業)が入室した。

学生が全員起立し、礼をした。

岩間さんは、昨年は4年生に講義をしている。

まず、岩間さんは自己紹介で父親が開設した神戸の歯科診療所の外観と内部をスライドで紹介した。

この診療所は神戸淡路大震災で倒壊し今はない。

その診療所のドアは、モニュメントとして、現在の岩間歯科院内にはめ込まれている。

現在の診療所内を紹介しながら、本題に入った。

岩間さんは、1942年神戸に生まれ、父と同じ大阪歯科大学を卒業。

1967年、25歳の時に、森田歯科商店(当時)で、Dr.Beach主催の勉強会があるからお手伝い来ないかと誘われ、現在の歯科診療システムにたずさわった。

具体的に話を進めるため、「今日のために明日はある」の書籍を全生徒に配布した。

ついで、モリタ作成の水平診療のシンボルを描いた葉書を配布した。

当時(1960年代)の大多数の歯科医師は立って診療をしていた。

このため持病は腰痛、肩こりであった。

米国人のDr.Beach(ダリル・レイモンド・ビーチ)は、患者を寝かせ、歯科医師が椅子に座って診療を行う「座位診療」のために、まったく新しいユニットを開発した。

これは歯科医師はじめ歯科関係者に大きな衝撃を与えた。

Dr.Beachは「人類の歴史において、今日の日を明日のために献げて生きる事が至高の価値を持つ」と説いた。

「明日のために今日がある!」と言う事を胸に今後も力を合わせて未来に歩いていきましょう」と呼びかけた。

また、Dr.Beachは0コンセプト(0の概念)を基本概念とした。

"健康"は数字の0(ゼロ)、病気は−(マイナス)の状態で表わす。

つまり医療とは、マイナス(病気)の状態を出来る限り0(健康)の状態に近づけることと考えた。

Pdコンセプトとは、proprioceptive derivationの略で、日本語では固有感覚に基づくと演繹(えんえき)と訳される。

難しい言葉であるが、この固有の感覚とは、人間が持っている生理的な感覚で平衡感覚とかバランス感覚とも言われている。

自然な姿勢で歯科診療を行うべきであるが、これが現在も行われていない。

(岩間さんは、Dr.Beachが開発したユニット・デンタルベッドには、うがいをする設備がついていないことの意味や、歯科医師と歯科衛生士や歯科助手がコンビとなって行う診療も1960年代まで日本になかったことを説明した。

歯科医師の二つの手、歯科衛生士など補助者の二つの手、つまり四つの手(4ハンド)の診療について述べた。

この後、8020運動のあゆみ 8020運動の成果 地域活動である学校歯科医としての保健指導(歯ブラシ指導) 企業シャープでの口腔健診活動 岩間歯科医院での診療活動などを具体的に紹介した)

 

  

<聴講後記>

取材の立場より、学生と一生に授業を受ける気分で臨んだ。

「歯科医療の素晴らしさを学生たちに伝えたい」

岩間さんの熱い思いが伝わってきた。

「今後の歯科医療、歯科医師の領域は、ますます拡大する」

「そのためには、国民に身近に理解されること」

岩間さんが歯科医師の大先輩として、未来の歯科医師に伝えるべきことを、熱情を込めて説いた。

寝ている学生に刺激をと、途中、噛み応えのあるグミやキシリトールチョコレートを配布した。

他の講師にはないであろう、"微笑ましい配慮"であった。

「求められたら、来年も来たい」と医局へ戻って出されたお茶を飲みながら述べていた。

現在、創立100年記念事業へ向かって、奮闘している大阪歯科大学の広報委員長の立場である。

山本嗣信

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