第13回 Er:YAGレーザー臨床研究会 上)

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第13回 Er:YAGレーザー臨床研究会が8月8日、東京・千代田区丸の内の東京フォーラムB5で開かれ、290名余が参加した。

Er:YAGレーザーは(株)モリタのユーザー("アーウィン"、"アーウィン アドベール")が1500余、会員数1330名。

1960年アメリカのメイマンによるルビーレーザーの発明から50年。

Er:YAGレーザーは、唯一、歯を削ることが認可されたレーザー。

水を併用するので痛みの発生が最も少ないレーザーとして評価されている。

生体組織の水分に対する反応が高く、発熱が少ないため、表面が黒く焦げるなど周囲の組織への影響がほとんどなく、安全性の高いレーザー装置といわれている。

治療時は虫歯の部分だけを取り除くことができるため、健全な部分を多く残すことができる。

また、歯だけでなく歯周病など多くの治療に用いられている。

2008年の4月から保険に、無痛的ウ蝕除去加算としてEr:YAGレーザーによる硬組織(歯の)切削が20点(200円)認められ、注目された。

また、2010年4月には、手術時歯根面レーザー応用加算40点が新たに導入された。(レーザー照射による歯石除去など)

特別講演「歯科治療とEr:YAGレーザー」東京医科歯科大学大学院和泉雄一教授、臨床講演「Er:YAGレーザーの臨床応用は再生治療の予知性を上げる」吉野敏明さん(神奈川県横浜市開業)、シンポジウム「歯周ポケット治療におけるEr:YAGレーザーの使い方、有効性」が行われ、ディスカッションでは参加者の質問に各講師が答えた。

また、各分野の専門家に意見を求めた。

終了後、会議室会場に隣接したホールで懇親会が行われた。

「歯周治療に関するPS600Tに関するコンセンサス」で講演した宮田隆さん(歯科医学教育国際支援機構理事長)は、コンタクトチップの種類について具体に説明した。

  

「歯周治療に関するPS600Tに関するコンセンサス」

  

宮田隆さん(歯科医学教育国際支援機構理事長)

  

色々と臨床家が試行錯誤してきたが、S600TとPS600T、P600Tのなどのチップの特徴にふれると、大きな違いはフラット面である。

P400T、P600Tはフラット面がないので、フォーラスが非常に短くなってしまう。

一方、PS600Tに関しては、フラット面をかなり幅広くしている。

これまでのチップのいいところを取って開発されたのが、PS600Tである。

歯肉を切開する場合は、非常に有効である。

P400T、P600Tのパワーは強いが、ピタッと照射の焦点が合わないと歯石が取れなかったり、切開がしづらい、という欠点がある。

それをうまくできるようにしたのが、PS600Tのチップだ。

各チップの特徴として、S600Tは切開がシャープにできるが歯石除去がうまくできない。

焦点が外れるとレーザーの光が拡散され、パワーが落ちる。

PS600Tは先端と脇(側方)からも光が出ている。

 この特徴があとで効果的になってくる。

歯石を除去するとともに根面付着物、不良肉芽除去することが可能となる。

ポケット内の掻爬、滅菌、無毒化も可能である。

昔、我々が大学を卒業したころは、歯周外科がものすごくうまい人がいた。

私は日大なので、日大型11番スケーラーできれいに不良肉芽を取っていく先生がいた。

名人芸であった。

私はへたであったので、取れないと段々イライラしてきた。

みなさんもそのような経験があると思うが、PS600Tは、ほとんど軽くふれるだけで、不良肉芽がポンポンポンと取れていく。

この角度については、あとで詳しく説明する。

ほとんど、歯根面にチップをはわせるだけだ。

はわせると同時に、根面付着物を蒸散してしまう。

ほとんど力もいれず、イライラもしない。

(症例を動画で見せる)

イメージである、歯根面はどのような角度をしているのか、失われた面は洞窟のような穴となっていることは想像できる。

その歯根面はルートプレーンイング(歯肉縁下の歯石を除去)をやって取れない。

そのなかに住みついた細菌、付着物はミクロンの世界であり、顕微鏡で見ないとなかなか取れない。

そのようなところをどうするのか? という議論がある。

PS600Tはこのように入るので、前方さらに側方にも照射ができる。

そこで細菌、付着物を取るというメリットがある。

ポイントは、チップ側面を歯面にはわせ、歯面に対して平行に動かす。

(チップを挿入するためのスペースメーキング)。

歯肉を掻爬しスペースメーキングをする。

注水下でレーザー光が水と反応する際の音が聞き取れる程度の距離でチップを動かす。

PS600Tは歯周外科において以下のような特徴を有する。

1)歯根面の当てる角度は可及的に7度を維持。

2)歯周外科における歯肉辺縁の切開はS600Tが優れ、時間の余裕があるならばS600TtoPS600Tを使い分けた方がより効果的な歯周外科が可能となる。

3)PS600Tha歯根面へのディフェクトの危険性はチップの角度(約7度)パワー(20pps、80〜100mj)に配慮することで回避できる。

4)一貫してPS600Tを使用する時は歯肉切開時のパワーを若干強くする(20pps、100〜120mj)、肉芽除去は80〜100mj)に下げる。

 

<参考>

創傷の治癒過程は線維性の結合組織によって修復されていきます。

これを肉芽組織と呼びます。

不良肉芽とは 線維芽細胞の増殖が不十分で線維化傾向に乏しく、毛細血管、滲出液、炎症性細胞に富み、水腫性で出血しやすい肉芽を意味します。難治性の歯肉炎や歯周炎がある場合には、歯肉組織に炎症による不良肉芽組織が形成されていると考えられています。

この肉芽組織を掻破(器具などで切除、除去すること)する事によって新鮮な傷口を作り治癒を促進するという処置方法です。

単純な歯石除去などで歯周炎、歯肉炎などの症状が改善しない場合、歯周ポケット内の不良肉芽組織を掻破するという事になります。

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