熊本県歯及び口腔の健康づくり推進条例の解説

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平成22年11月熊本県健康づくり推進課(目的)第1条 この条例は、歯及び口腔の健康づくりが全身の健康の保持増進に重要な役割を果たしていることにかんがみ、県民の歯及び口腔の健康づくりに関し、基本理念を定め、並びに県の責務及び歯科医師等、保健医療関係者、教育関係者、福祉関係者、食生活・食育関係者及び県民の役割等を明らかにするとともに、県民の歯及び口腔の健康づくりに関する施策の基本となる事項を定めることにより、県民の歯及び口腔の健康づくりに関する施策を総合的かつ効果的に推進し、もって県民の健康の保持増進に寄与することを目的とする。【趣 旨】・ 近年、歯及び口腔の健康状態が全身の健康状態に関係していることが明らかになっている。例えば、歯周病と全身の関係では、歯周病により糖尿病、動脈硬化・心臓病、早産、肥満などのリスクを伴う。このため、県民の歯及び口腔の健康づくりを進めていくことが大変重要であることから、歯及び口腔の健康づくりに関する基本理念を定め、県及び歯科医師等関係者の役割を明らかにするとともに、施策の基本事項を定めることで、施策を総合的かつ効果的に進めることとし県民の健康の保持増進につなげていくことを目的としている。・ 「歯及び口腔」とは、歯及び口の中のことをいう。・ 「歯及び口腔の健康づくり」とは、歯及び口腔について、むし歯、歯周病、不正咬合等のない健康な状態にし、及びその状態を保持することをいう。(定義)第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。(1) 歯科医師等 歯科医師、歯科衛生士及び歯科技工士をいう。(2) 保健医療関係者 保健医療サービスを提供する者で、歯及び口腔の健康に関する活動、指導、助言又は医療行為を行うもの(歯科医師等を除く。)をいう。(3) 教育関係者 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校又は同法第124条に規定する専修学校において、幼児、児童、生徒又は学生の歯及び口腔の健康に関する指導を行うものをいう。(4) 福祉関係者 福祉サービスを提供する者で、歯及び口腔の健康に関する活動、指導、助言又は医療行為を行うものをいう。(5) 学校等 保育所、幼稚園、小学校、中学校及び特別支援学校をいう。(6) 食生活・食育関係者 地域及び学校等において栄養指導、食生活の相談等食育推進活動に携わる管理栄養士、栄養士、調理師、食生活改善推進員等をいう。(7) 保険者 健康保険法(大正11年法律第70号)、船員保険法(昭和14年法律第73号)、国民健康保険法(昭和33年法律第192号)、国家公務員共済組合法(昭和33年法律第128号)、地方公務員等共済組合法(昭和37年法律第152号)、私立学校教職員共済法(昭和28年法律第245号)及び高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)の規定により医療に関する給付を行う全国健康保険協会、健康保険組合、市町村、国民健康保険組合、共済組合、日本私立学校振興・共済事業団及び後期高齢者医療広域連合をいう。【趣 旨】・本条例において使用する、用語の定義を定めている。(基本理念)第3条 歯及び口腔の健康づくりは、すべての県民がその年齢又は心身の状況に応じた良質な歯及び口腔に係るサービスの提供を受けることができるようにすることを旨として、行われなければならない。【趣 旨】・ 本条例では、全ての県民がライフステージに応じた良質な歯科保健、治療等のサービスを受けることができるようすることを基本理念とし、そのための歯及び口腔の健康づくりであることを明確にしている。(県の責務)第4条 県は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、歯及び口腔の健康づくりに関する総合的かつ効果的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。【趣 旨】・ 本条は、本条例に基づいて県民の歯及び口腔の健康づくりに関する施策の策定及び実施に当たっての県の責務を明らかにしている。・ 県は、基本理念を念頭に置き、歯及び口腔の健康づくりを推進するために、医療、教育、保健、福祉、食育等多くの分野に渡った視点から歯及び口腔の健康づくりに効果的な施策を策定し実施することとなる。・ 「県」とは、知事部局、各行政委員会(教育委員会等)、各地方公営企業等(企業局及び病院局)を含めた普通地方公共団体としての「熊本県」をいう。(市町村との連携等)第5条 県は、市町村と連携し、及び協力して歯及び口腔の健康づくりの施策を策定し、及び実施するよう努めなければならない。【趣 旨】・ 県と市町村は、対等でありそれぞれ役割に応じて施策や業務を担当しているが、日常、県民に最も身近な行政主体である市町村において、歯科保健のサービスが実施されている。このことから、県民の歯及び口腔の健康づくりを進めるに当たり、県は、施策の策定及び実施に当たって、市町村と緊密に連携し協力に努めることを規定している。(市町村等への支援)第6条 県は、市町村が歯及び口腔の健康づくりに関する施策を策定し、及び実施する場合には、その求めに応じ、情報の提供、技術的な助言その他必要な支援を行うものとする。2 県は、保健医療関係者、教育関係者、福祉関係者、事業者及び保険者が行う歯及び口腔の健康づくりの活動に対し、広域的又は専門的見地からの情報の提供及び助言を行うものとする。【趣 旨】・ 第1項では、各市町村での歯科保健の取組みが一層図られるよう、歯及び口腔の健康づくりに係る施策の策定及び実施に当たり、県は、市町村の求めに応じ各種情報提供、技術的助言及び市町村にとって有益かつ必要な支援を行うことを規定した。「その他必要な支援」とは、県内各地域において、市町村と合同で実施する方がより効果的と考えられる歯科保健活動や講師の派遣による人的支援、県の器材を貸与する物的支援等をいう。・ 第2項では、市町村のほかに保健医療関係者、教育関係者、福祉関係者、事業者及び保険者が、直接又は間接的に保健医療サービスに関わっていることから、県は、関係者それぞれの歯及び口腔の健康づくりの活動に対し、広域的、専門的な視点から各種情報提供や助言を行うこととしている。(歯科医師等の役割)第7条 歯科医師等は、基本理念にのっとり、県が実施する歯及び口腔の健康づくりに関する施策並びに市町村が実施する歯及び口腔の健康づくりに関する保健サービスに協力するよう努めるものとする。2 歯科医師等で組織される団体は、県民が行う歯及び口腔の健康づくりに関する取組を支援するための研修を実施するよう努めるものとする。【趣 旨】・ 第1項では、県民の歯及び口腔の健康づくりに関して県が実施する施策及び市町村が実施する保健サービスについて、歯科医師、歯科衛生士及び歯科技工士の協力が不可欠であることから、県及び市町村への協力を求めることとしている。・ 第2項の「歯科医師等で組織される」とは、歯科医師会、歯科衛生士会、歯科技工士会が自ら又は相互に連携協力して組織する団体をいう。また、それらの団体は、地域や職域等で実施される歯及び口腔の健康づくりを支援するため、人材育成や各種事業等の研修に努めることとしている。(保健医療関係者、教育関係者、福祉関係者及び食生活・食育関係者の役割)第8条 保健医療関係者、教育関係者、福祉関係者及び食生活・食育関係者は、基本理念にのっとり、県民が行う歯及び口腔の健康づくりに関する取組を支援するよう努めるものとする。2 保健医療関係者、教育関係者、福祉関係者又は食生活・食育関係者でそれぞれ又は連携して組織される団体は、県民が行う歯及び口腔の健康づくりに関する取組を支援するための研修を実施するよう努めるものとする。【趣 旨】・第7条の趣旨と同様である。(事業者及び保険者の役割)第9条 事業者は、基本理念にのっとり、事業所で雇用する従業員の歯科に関する健康診断の機会の確保その他の歯及び口腔の健康づくりに関する取組を行うよう努めるものとする。2 保険者は、基本理念にのっとり、被保険者及びその被扶養者の歯科に関する健康診断の機会の確保その他の歯及び口腔の健康づくりに関する取組を推進するよう努めるものとする。【趣 旨】・ 第1項の事業者とは、従業員を雇用する者をいう。特に、成人期のむし歯、歯周疾患の予防は、生活習慣病予防につながることから、むし歯、歯周病の予防については、市町村(地域)だけではなく、事業所(職域)での取組みも重要であること及び生活習慣病予防の観点から事業者は、従業員の歯及び口腔の健康づくり、歯科に係る健康診断の機会の確保に努めることとしている。・ 第2項では、保険者は、被保険者のむし歯、歯周疾患の予防について、事業者と一体的に歯及び口腔の健康づくり及び歯科健診に取り組む必要があることから、保険者についても、その役割を明らかにしている。(県民の役割)第10条 県民は、歯及び口腔の健康づくりに関する知識及び理解を深めるよう自ら努めるものとする。2 県民は、県及び市町村が実施する歯及び口腔の健康づくりに関する施策又は保健サービスを活用するとともに、歯科医師等の支援を受けることにより、歯及び口腔の健康づくりに関する取組を行うよう努めるものとする。3 保護者は、家庭において、その子どものむし歯及び歯周病の予防及び早期治療の勧奨、健康な食生活の実現その他歯及び口腔の健康づくりに関する取組を行うよう努めるものとする。【趣 旨】・ 本条は、歯及び口腔の健康づくりにおいて、県民に期待される役割を明らかにしている。・ 第1項では、県民は、健康の保持増進のため、歯及び口腔の健康づくりの重要性について、自ら知識と理解を深めるよう努めることとしている。・ 第2項では、県民は、県や市町村が実施する各種の制度、施策及び歯科保健サービスを積極的に活用し、加えて専門家である歯科医師等の指導を受け取り組むことに努めるよう規定している。・ 第3項では、保護者には、家庭における取組みとして、子どもにむし歯や歯周疾患があるときは、歯科医療機関による治療を勧めるとともに、日頃からむし歯にならないよう健康な食生活を実践することのほかに、子どもに正しい歯磨きを身に付けさせ、歯と口腔のセルフチェックを定着させたり、定期的な歯科検診を受診させるなどが求められており、その取組みを行うよう努めることとしている。(歯科保健医療計画)第11条 知事は、県民の歯及び口腔の健康づくりに関する施策を総合的に推進するため、歯及び口腔の健康づくりに関する基本的な計画(以下「歯科保健医療計画」という。)を定めるものとする。2 歯科保健医療計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。(1) 歯及び口腔の健康づくりに関する基本的な方針(2) 歯及び口腔の健康づくりに関する目標(3) 歯及び口腔の健康づくりに関する施策(4) 前3号に掲げるもののほか、歯及び口腔の健康づくりに関する施策を総合的かつ効果的に推進するために必要な事項3 知事は、歯科保健医療計画を定めようとするときは、あらかじめ市町村、歯科医師等、保健医療関係者、教育関係者、福祉関係者及び食生活・食育関係者の意見を聴かなければならない。4 知事は、歯科保健医療計画を定めたときは、これを公表しなければならない。5 前2項の規定は、歯科保健医療計画の変更について準用する。【趣 旨】・ 本条では、歯及び口腔の健康づくりに関する基本的な計画(歯科保健医療計画)を策定し、県民の生涯にわたる歯及び口腔の健康づくりの着実な実現に向けて、知事は、総合的かつ計画的に取り組むことを規定している。・ 第1項では、歯及び口腔の健康づくりは、保健医療、教育、福祉等多方面の分野に関係することから、県の事務全般にわたって統括的な関係施策を行う権限を有する知事に、歯科保健医療計画の策定を義務付けたものである。・ 第2項では、当該計画で定める事項を示している。・ 第3項では、策定過程において市町村等関係者の意見を聴くことを義務付けている。・ 第4項では、当該計画を策定したときの公表を義務付けている。・ 第5項では、当該計画の計画を変更する場合、第3項及び第4項を準用することとしている。(施策の推進)第12条 県は、県民の歯及び口腔の健康づくりを推進するため、次に掲げる施策を実施するものとする。(1) 県民が生涯にわたり歯及び口腔の健康づくりについて知識及び理解を深めるために必要な啓発並びに県民の歯及び口腔の健康づくりに寄与する人材の育成を推進すること。(2) 乳幼児及び少年(小学校就学の始期から満18歳に達するまでの者をいう。)に対し、市町村、歯科医師等、保健医療関係者及び教育関係者との連携を図り歯磨き、フッ化フッ化物応用その他のむし歯及び歯周病の予防のための対策を推進すること。(3) 障害者、介護を必要とする者又は妊婦に対し、市町村、歯科医師等、保健医療関係者及び福祉関係者との連携を図り、口腔機能の向上又は歯周病の予防のための対策を推進すること。(4) 前各号に掲げるもののほか、歯及び口腔の健康づくりを図るために必要な施策を推進すること。【趣 旨】・ 本条では、県が歯及び口腔の健康づくりを推進するための施策を明らかにしている。・ 第1号では、県は、県民が歯及び口腔の健康づくりの知識や理解を深めるための啓発、人材育成の推進を規定している。・ 第2号では、本県の乳児期及び学齢期の子どものむし歯の罹患率が全国でも高い状況にあること及び近年の若年層における歯周病の罹患率が増加傾向にあることから、それらの予防対策の推進を規定している。また、子どもの頃からのむし歯予防対策は、将来の生活習慣病予防につながることから、市町村等の関係者が連携して子どもの歯磨き、フッ化物応用等による対策を推進していくことを規定している。・ 第3号では、障がい児(者)や要介護者、妊婦の口腔機能の向上や歯周病予防による生活の質の向上を図るため、市町村等関係者が連携し取組みを進めていくよう規定している。(学校等への支援)第13条 県は、幼児、児童及び生徒のむし歯及び歯周病を予防するため、学校等における歯磨き、フッ化物洗口の普及その他の効果的な取組に関し必要な措置を講じるものとする。2 県は、学校等においてフッ化物洗口が実施される場合は、学校保健安全法(昭和33年法律第56号)第5条の規定による学校保健計画又はこれに準じた計画に位置付けることその他のフッ化物洗口の的確な実施のために必要な助言を行うものとする。【趣 旨】・ 第1項では、保育所、幼稚園、小中学校及び特別支援学校おいて子どものむし歯及び歯周病予防を実施されるときは、県が歯磨き、フッ化物洗口などの予防効果の高い取組みついて必要な支援、措置を行うこととしている。・ 第2項では、第1項を受けて、学校等でフッ化物洗口を実施される場合において、学校保健安全法(第5条)による学校保健計画又は準じる計画に位置づけなされるときは、円滑に計画に位置づけられるよう助言するとともに、その的確な実施に当たっての必要な助言を行うこととしている。・ 必要な助言とは、フッ化物洗口の円滑な実施に関し事前準備、実施体制、実施手順、評価方法等をいう。<参考> ◎ 学校保健安全法(学校保健計画の策定等)第5条 学校においては、児童生徒等及び職員の心身の健康の保持増進を図るため、児童生徒及び職員の健康診断、環境衛生検査、児童生徒等に対する指導その他保健に関する事項について計画を策定し、これを実施しなければならない。(歯科保健等に関する実態調査)第14条 県は、県民の歯及び口腔の健康づくりに関する施策を実施するため、県民の歯科保健及び歯科疾患の実態について必要な調査を行うものとする。【趣 旨】・ 県民の歯及び口腔の健康づくりを推進する施策を効果的に実施するためには、あらかじめ県民の歯及び口腔の健康状態を把握しておく必要があることから、県民の歯科保健及び歯科疾患の実態について、必要な調査を行うこととしている。なお、必要な調査は、定期的に実施されている調査を含んでおり、調査結果の公表は勿論のことである。・ 歯科疾患とは、むし歯、歯周疾患、歯列・不正咬合、顎関節の異常等をいう。(年次報告)第15条 知事は、毎年度、歯及び口腔の健康づくりに関する施策を取りまとめ、議会に報告するとともに、公表するものとする。【趣 旨】・ 知事は、毎年度、県民の歯及び口腔の健康づくりに関する各施策の実施状況を議会に報告し、県民に公表することで、より効果的で着実な施策の継続的な実施を促している。(財政上の措置)第16条 県は、歯及び口腔の健康づくりに関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。【趣 旨】・ 条文のとおり。附 則1 この条例は、平成22年11月1日から施行する。2 この条例の施行の際現に定められている歯及び口腔の健康づくりに関する県の基本的な計画であって、県民の歯及び口腔の健康づくりに関する施策を総合的に推進するためのものは、第11条第1項の規定により定められた歯科保健医療計画とみなす。
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