死体から組織を集め、歯科インプラントや美容形成

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遺体から皮膚や骨......闇取引 調査報道NPOが取材

 (www.asahi.com/ICIJ提携記事 2012年7月18日21時35分)

 

死体から皮膚や骨、腱などの組織を集め、歯科インプラントや美容形成、スポーツ医療用製品の原材料として国際的に取引する動きが活発だ。

高まる需要の中で死体組織の不正な入手も横行し始めており、米国の国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は世界11カ国で8カ月間取材し、取引の不透明な実態に迫った。

人体組織の取引を監視する法律がないため、出所のはっきりしない死体組織をめぐる感染症被害の危険性を指摘する声もある。

 

人体組織そのものを売り買いすることは禁じられているが、遺族の同意に基づく「献体」などにより遺体の組織が提供され、非営利団体の組織バンクなどを通じて医療現場に届くのが本来の形だ。

 

ところが、「人体組織ビジネス」は急成長を続け、規制の甘い旧ソ連・東欧が人体組織の「供給源」として狙われている。

中には、公的機関が言葉巧みに遺族から同意を取り付けて死体の組織を不正に確保するケースも表面化した。

 

「肋骨2本、アキレス腱2本、左右のひじと鼓膜、歯2本......。気味が悪すぎて最後まで読めなかった」。

てんかん発作のため息子を35歳で亡くした母親は、ウクライナ警察に遺体から取り除かれた箇所のリストを見せられた。同警察は今年2月24日、地方法医学局からこの男性らの人体組織をクーラーボックスの中に詰め込んで白いミニバンで運びだそうとしているところを押収した。

 

荷札に書かれた運搬先は、米国で昨年1億6900万ドル(約135億2千万円)を売り上げ、株式上場もしている医療企業の系列ドイツ工場。

母親は、わずかな組織提供をするとしか聞かされていなかった。

 

ウクライナ警察は2008年にも別の法医学施設から月に1千を超える人体組織が違法に盗まれ、第三者経由でこの工場に運ばれたとして刑事事件化した。

しかし、主犯格のウクライナ人医師が判決前に死亡し、真相は闇の中だ。

 

米食品医薬品局(FDA)は11年、この工場から米国に輸入されたウクライナ人の人体組織が、「ドイツ製」と記されていることを把握し、輸入元の上場医療企業に是正を求めた。

 

人体組織の最大の市場である米国では、年間約200万の人体組織由来の製品が売られているとみられ、この10年で2倍となった。

業界関係者によると、病気のなかった死体は、1体8万〜20万ドルで取引されるという。

角膜移植は盲目の人に光を与え、腱と靱帯をリサイクルした製品は、アスリートの復活を可能にする。

 

皮膚は死体から手際よく長方形に切り取られる。大きければ約5580平方センチを得られる。細菌感染を防ぐために水分を取り除いてすりつぶし、精製されてがん患者の乳房再建術に使われる。

ところが、多くの米国などの整形外科医らは、再建術に使う製品が死体の組織を使っていることを患者に打ち明けない。

 

ICIJが情報公開請求によって入手した資料によると、FDAは02年以降、組織移植後の感染を1352件把握し、40人は死に至っている。

米疾病対策センター(CDC)によると、人体組織を使う製品には、肝炎やHIVなど感染症のリスクが避けられない。

血液については規制が厳しくなっているが、死体から作られる製品にはほとんど規制法がないという。

CDCのマット・キーナート博士は「感染を見つけるシステムがない」として、監視体制の必要性を訴える。

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