歯科技工難易度および材料の使用量調査

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難易度は個人的な技術要素として適正な評価を

  

 平成21年に日本歯科技工学会が実施した「歯科技工難易度および材料の使用量調査」報告書を、日本歯科技工士学会齋好太郎会長、同学会本調査委員会末瀬医療費一彦委員長、日本歯科技工士会古橋博美副会長は厚生労働省保険局医療課に提出した。

以下が「歯科技工難易度および材料の使用量調査」の概要。

 

 「歯科技工難易度および材料の使用量調査」(上)

 

 冠修復物や有床義歯の製作にかかわる適正な技術評価が行われてないのが現状である。

材料、機器の急速な進展の中で、種々多様な材料と高度な技術を用いて、精密の高い歯科技工士物を製作するプロセスの技術評価を行うことは容易ではない。

一方、就業歯科技工士数は3万5000名から大きな変動はない。

現在の主導的年齢は50歳〜60歳が中心で、25歳未満の歯科技工士数はわずか7%以下である。

さらに、歯科医師数は過剰であるものの、歯科技工離れが進み、歯科医療における多くの歯科技工士は外注委託であり、ますます歯工分離が進んでいる。

そのような背景にあって、日本の歯科技工は行政制度や教育面において、世界でもトップレベルである。

しかし、補綴装置の作成における難易度は個人的な技術要素として、適正な評価は行われてこなかった。

そこで、本調査研究では歯冠修復物や有床義歯の補綴装置の作成に係わる作業を細分化し、それぞれの作業工程における難易度および、それらに関わる材料の必要最少量を基にした使用量について、広範囲にわたるアンケート調査を行った。

それらの結果を補綴装置の製作技工に関わる難易度および使用材料量の評価基準の参考とし、適正な技術評価が行われるよう検討した。

さらに、平成19年度に本学会は歯科補綴装置などの作成に関わる所要時間について「歯科技工のタイムスタディ調査・研究」を実施していることから、今回の歯科補綴装置の作成に関わる難易度と合わせて検討した。

それらの結果から、歯冠修復物作成においては、前装鋳造冠が平均的難易度が最も高く、他の補綴装置はほぼ同程度の難易度であった。

製作工程では、咬合器付着や調節、蝋型採得、蝋付け操作、前装材料の築盛、形態修正の難易度が高く、タイムスタディ調査研究で報告した1分当たりの保険点数とほぼ同調していた。

また、有床義歯においては欠損歯数が多くなるほど平均的難易度は高く、特に局部床義歯における維持装置や大連結子の作成、ゴシックアーチトレーサーの使用において難易度が高くなった。

タイムスタディ調査研究においても総義歯の作成や線鉤屈曲や屈曲バーの作成などの1分あたりの保険点数評価が高く、同調していた。

さらに、使用材料の調査においては、歯科技工の経験年数との相関が大きく、経験寸数の高い歯科技工士ほど使用材料量は必要最小限に近く、特に鋳造や屈曲などの金属類の使用量について明確であった。

本研究の結果から、補綴装置の種類や各種製作工程における難易度や使用材料量の概要が判明し、歯科技工における技術評価の指標となると期待される。

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