日本歯科技工士会は3月20日、日本歯科技工士会館で第91回代議員会を開いた。
第4号議案の新公益社団(予定)日本歯科技工士会「定款」承認で、審議されたが、票決の結果、2票差の45票で4/3を得られず否決された。
このため関連する第4号から第8号までの議案も取り下げられる、意外な展開となった。
また、質問・要望は、国家試験統一問題、歯科技工士養成年限の延長問題、歯科技工物の海外発注問題、報道NEXT(TBS)で放映された「中国製歯科技工物」に関する日技の対応と見解、「歯科技工物を医療品にする運動」の提起、組織率の改善について、会費問題などが取り上げられ、各担当役員が答えた。
内容は、明日(3月24日に掲載)予定。
なお、総会は、代議員会後に開かれる予定であったが、「代議員会議案をもって、総会とする」とされた。
このため、総会を目当てに来た会員たちが不信感を募らせていた。
以下会長挨拶を掲載する。
<中西茂昭会長挨拶要旨>
すべての歯科医療関係者は「良質な国民歯科医療の確保に資するべく尽くす」ことを共通の認識として自覚しており、歯科医師を中心に医療に関わる誇りを持って日々医療現場で汗を流している。
過日「海外への歯科補てつ物等の委託に関する日本歯科医師会の考え方」が、厚生労働省大臣政務官と同省医政局長宛に提出された。
内容は、先の医政局歯科保健課長通知の更なる厳格な充実と、作成場所や使用材料等に関する具体的な指示の基準づくり、そして歯科技工指示書の根拠規定等の整備を求めている。
これは日本歯科医師会の大久保満男会長からの要請により関係5団体の協議においてまとめられたものである。
5団体とは日歯、日本歯科医学会、日本歯科商工協会、日本歯科材料工業協同組合、日本歯科技工士会である。
今後もさらに厚生労働省と連携を図り5団体協議が継続される。
日本歯科技工士会はその中でかねてより主張しているが、健全な委託・受託関係の法的整備、具体的には医療法第15条の2から派生する医療法施行令第4条の7の条文に「歯科技工」を加えることと、それらに関連する法令を改めることを求めている。
この海外問題は、関係機関の責任者たる歯科医師が発注したり、させたりないこと、中間業者と称される者は利己的で道徳的のない営業をしないこと、行政は法の恣意的拡大解釈や低次元の差益追及をも、歯科医師の裁量権のうちとすることなどを、強く戒め容認しないことなどにより解決できる。
今、歯科界は常に社会から無数の厳しい目で監視されていることを、強く認識しなければならない。
日技は引き続き、厚生労働省、日歯、そして関係者と協議を続け、先に法令整備等を求め、職能公益社団法人としての社会的責任を果たしていきたい。
「生きがいを支える国民歯科会議」も回を重ね、来春には会議宣言が発せられる。
また、白熱の会議の記録を書籍としてまとめ刊行することを確認している。
すでに25%に達し、今後50%達成を目途とし「健康長寿8020社会」を宣言しようとする8020運動、その中で我々は28本歯のすべての歯の機能を保つ、より精巧な補てつ物等の提供に努めることによって、歯科技工士ならではの大きな貢献ができる。
おりしも、この4月から、日本歯科医師会作成の「国民歯科医療は、歯科医師会、歯科衛生士、歯科技工士が担っております」という30秒のテレビコマーシャルが全国放映される。
それぞれがまさに「生きがい医療」「生活の医療」としての歯科医療の大切さ広く国民に知っていただくための運動の一環であり、その成果に期待をもつものである。
さて、次年度は現執行部の最終年度であり、事業計画は集大成として取り組むため、より具体的な懸案として示した。
なかでも「社会保険歯科診療に係わる歯科技工対価を歯科技工担当者に正当に届ける制度の構築」については、昭和61年の原点に立ちかえり、「歯冠修復及び欠損補てつ料にいける製作技工の対価は、製作技術料の70%である旨を厚生労働省大臣名で告示し、歯科診療報酬点数表に製作技工報酬点数として明示する」ことを実現すべく、過日、政権与党の小沢幹事長と長妻昭厚生労働大臣にお会いし直接訴えた。
小沢幹事長は直ちに厚生労働省に「善処せよ」と強く求められすでに動きだした感がある。
この問題を真剣に解決の方向に進めてきだだけるならば、今夏の参議院議員選挙の支援等を考えていく。
当然ながら候補者の推薦は、歯科技工士の経済、教育、法令改正等に関わる政策協定を、理解し、その実現に具体的に取り組むことを候補者に約束させることが前提となる。
また、今回の診療報酬改定では、有床義歯等の評価に加えて、歯科医療機関の義歯修理に「歯科技工加算」が新設された。
かつてなかった方向性を示せたことが新たな可能性を拓くことに繋がると期待したい。
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