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2013/07/16

厚生労働省・行政・政治

歯周病のあるなしで平均の年間医療費に2万円余の差

歯周病とレセプト分析

河野太郎

2013年07月14日 20:09

 「平成元年度に10兆円だった社会保障予算が平成25年に30兆円になっているという事実をみたとき、医療費を減らす対策をうたなければならないのは明らかであり、そのためにはもう少し真面目に医療費を分析しなければならない。」と書いたら、医療関係の方々からメール、コメントをたくさんいただいた。

何でもよいから医療費を削減しろと言っているわけではない。

医療費を分析すると、医療費を効果的、効率的に使えるようになるのがわかっている。

例えば、国会版社会保障制度改革国民会議でもお招きをしたある健康保険組合は、被保険者七万人と被扶養者八万人の医療費を継続的に分析することによって、さまざまなことを明らかにしている。

たとえば歯周病で言えば被保険者の医療費データを15年間にわたり分析した結果、歯周病がある者と無い者を比較すると、医療費に差がでることがデータで裏付けられた。

歯周病がある者の年間の平均歯科医療費が44,664円に対して歯周病がない者の歯科医療費は38,392円。

しかし、それだけでなく歯周病がある者の年間の平均の医科医療費が107,759円に対して、歯周病がない者の医科医療費は91,959円にとどまっている。

結果的に歯周病のあるなしで平均の年間医療費に2万円余の差が出ている。

さらに、その健康保険組合の分析で、歯科検診を実施している事業所では5年間で医療費が最大で23%も減少したのに対し、歯科検診を実施しなかった事業所では5年間で24%の医療費の増加がみられた。

だから、歯周病というのは一人当たりの医療費が第一位だったというだけでなく、それを治療することによって、他の医療費の削減につながる可能性がある。

歯周病だけではない。

この健康保険組合のデータによれば、1989年にBMIが30以上、つまり高度肥満とされた人の7.8%が20年後に入院している。BMI18.5以下の痩せとされた人の20年後の入院率は1.8%、標準とされた人は3.2%に過ぎない。

その結果、1989年にBMIで高度肥満とされた人の2009年の一人当たり総医療費は31万円。痩せと判断された人の20年後の平均総医療費は7万円、標準の人の20年後の平均総医療費は10万円と総医療費で3倍から4倍の開きになる。

こういうデータをこつこつと分析して、何をしたら将来の医療費を削減することができるのかを考えていかなければならない。

それなのに一人当たり医療費が一番多かった歯周病のデータの取り扱いですら、このようでは、とても医療費の効率化などできない。

きちんとしたデータがないということは、きちんと分析がされていない、つまり、どうしたら医療費の削減ができるか対策が打たれていないということになる。

歯科の電子レセプトの導入率が低いことについても、いろいろなご意見を頂戴した。

厚労省の賃金構造基本統計調査によれば歯科医師の年収は679万円。

それに対して電子レセプトのソフトウェアの価格は200万円以上していることが歯科における電子レセプトの導入の遅れに繋がっているという声がある。

これだけのマーケットがありながら、価格が高くてソフトが普及がしないというのが本当ならば、ソフトウェア業界に何らかの参入規制のような問題があるのだろうか。

しかも現在のレセプトの書き方では、病名と治療と薬剤をきちんと対応させることができず、医療費の統計と分析に向いていないとの批判もある。

自民党の無駄撲滅チームでは、健保組合や国保などの保険者に対して、サンプル調査でレセプト分析に関するアンケートを実施している。

ちょうど今、ご協力をいただいたアンケートが戻り始めているところだ。

参議院選挙後にはその結果もまとまるはずだ。

医科歯科通信記者

長年にわたり歯科界の動きをチェックし、鋭い視線で切り込みます。茨城県出身。(医科歯科通信)

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