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ニュース

2009/06/05

学会・学術

日本口蓋裂学会総会・学術集会 ”PNAM法”に関心集まる

第33回日本口蓋裂学会総会・学術集が、「将来を見据えた安全で、確実な治療法を目指して」をテーマに、5月28,29の両日、東京・シェーンバッハ・サボーで開催された。会長を務めた保阪善昭・昭和大学医学部教授は、「口唇・口蓋裂の治療の結果には、10数年かかるものが普通であり、その方法を変えることは容易ではないということです。しかし、安全で確実な治療方法を確立していく時期に来ています」とした。大会は、全国から約800名が参加し、特別講演、教育講演、シンポジウム、一般演題が行なわれた。シンポジウム「わが国におけるPNAM(鼻顎口蓋術前矯正)法の導入と将来への展望」、「唇顎口蓋裂患者における成長コントロール」が注目された。 まず、「わが国におけるPNAM法の導入と将来への展望」では、小山明彦氏(北大医学部)が、「唇顎形態に術前顎矯正は、生理学的な口唇圧形態を形成するというコンセプトが重要。顎裂部骨形成、硬口蓋部粘骨膜の直接縫合ができ、鼻形成も含めた唇顎口蓋裂の一期手術の可能性と有効性を高めることが、PNAM法の主な目的になっている」と現状認識を示した。また、落合聡氏(聖マリア病院小児歯科)は、早期治療としてのPNAM法の導入について報告。「従来のHotz床の治療結果と評価を紹介しながら、近年、臨床評価を得ているPNAM法の導入後の評価について、「Hotz床と同様に良好な結果を得ている。外鼻形態についても、鼻橋の伸展・延長及び鼻翼の挙上等の良好な結果を得ている」とした。同時に、「保護者の精神的サポートに大きな寄与になっている、外鼻形態の改善は視覚的に確認できることで、育児と治療に対する積極的な姿勢を促す契機となることなど、PNAM法は、療育の面でも有効である」とその評価と今後への期待を示した。 一方、このPNAM方法の日本への導入・普及に尽力している昭和大学医学部グループの一人である土佐泰祥氏(昭和大学医学部口蓋裂診療班)は、「形成外科医、患児の負担の軽減というメリットがあること。特に、術後患児の精神的負担になる鼻口唇形態の改善が著しいことから、丁寧に手術・治療を進めていくことで効果を示すことができる。もちろんまだ、課題はあるものの、本法には、患者への期待に応えていける方法だと理解している」と述べ、慎重姿勢を示しながら臨床・研究に意欲的な姿勢を示した。以上のように、関係者からは、その効果を高く評価している声が多数である。この分野では、注目の治療技術であり、今後の臨床実績を含め、さらなる、研究が求められている。続く「唇顎口蓋裂患者における成長コントロール」は、幸地省子氏(東北大学附属病院センター)、須佐美隆史氏(東大医学部附属病院)、倉林仁美氏(昭和大学口蓋裂診療班)ほかのパネラーで行なわれた。「成長コントロールの長所・短所を患児及びその保護者に十分説明し、患者の意思を配慮した対応をしている」、「口蓋裂一次手術に、push‐back法、早期に反対咬合を発現する唇顎口蓋裂患者には、上顎前方牽引療法が、有用な方法選択」などの報告が出されたが、形成外科医、口腔外科医、矯正歯科医、さらには言語聴覚士などとの連携強化も指摘された。シンポジウム終了後には、参加した人からは「唇顎口蓋裂患者の治療には、成長という観点を明確にしなくてはならないのと同時に、患児の精神面、親御さんの理解を共有することも必要」(口腔外科医)、「コントロールが最も難しいかもしれません。言語療法士ほか専門職との連携が不可欠と改めて痛感した」(矯正歯科医)とするコメントがあった。

奥村 勝 氏

オクネット代表。明治大学政経学部卒業後、一般企業に就職。さらに東京歯科技工専門学校を経て歯科医院、歯科技工所に勤務。さらに日本歯科新聞社編集部記者、雑誌「アポロニア」(日本歯科新聞社)編集長、新聞「Dental Today」(医学情報社)編集長を歴任

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