今回の保険点数改定で、大きく注目されるのは、下記のCTの導入です。
導入の3次元CTは,従来のデンタルとパノラマで診断の困難な場合と限定されていますが、撮影料と診断料が計1,050点入りました。
(新) 歯科用3次元エックス線断層撮影
撮影料 600 点
診断料 450 点
[算定要件]
(1) 歯科用3次元エックス線断層撮影は、歯科用エックス線撮影又は歯科パノラマ断層撮影で診断が困難な場合であって、当該断層撮影の必要性が十分
認められる以下のいずれかを3次元的に確認する場合に限り算定する。
イ 埋伏智歯等、下顎管との位置関係
ロ 顎関節症等、顎関節の形態
ハ 顎裂等、顎骨の欠損形態
ニ 腫瘍等、病巣の広がり
ホ その他、歯科用エックス線撮影又は歯科パノラマ断層撮影で確認でき
ない位置関係や病巣の広がり等確認する特段の必要性が認められる場合
(2)歯科用3次元エックス線断層撮影の診断料は、回数にかかわらず、月1回に限り算定できるものとする。
(3)歯科用3次元エックス線断層撮影について造影剤を使用した場合は、所定点数に 500 点を加算する。この場合において、造影剤注入手技料及び麻酔料は所定点数に含まれるものとする。
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<参考>
調べてましたら,これまでのCTの保険適用について,下記の記述などがありました.
これまでは医科の準用としていたものが,範囲を明確にして,保険点数に正式に入ったというだけですか?
2010年12月8日付けで厚生労働省から歯科診療報酬点数関係の疑義解釈が出ました。
その中に歯科用CTについての問いがありました。
(問4) 歯科診療において、難治性の根尖性歯周炎、根分岐部を有す
る中等度以上の歯周炎、下顎管と接触しているおそれがある下顎智
歯の抜歯、顎骨嚢胞、変形性顎関節症、下顎頸部骨折、エナメル上
皮腫、骨腫、集合性歯牙種、骨浸潤を伴う悪性腫瘍等の治療を行う
上で必要があってCT撮影を行った場合の電子画像管理加算の算定
方法如何。
(答) 医科点数表第4部画像診断の例により算定する。
CTの点数は歯科点数表には記載がなく、医科点数コード表に掲載されています。
CT撮影料(その他) 600点
コンピュータ断層診断 450点
電子画像管理加算(コンピューター断層診断) 120点
医科点数表にはマルチスライス型CTなども記載されていますがこの算定には施設基準の届け出が必要なので、歯科用のコーンビーム型CTはその他、ということになります。
すなわち歯科でも上記のような傷病名ではCT撮影が保険適応されると解釈されます。
合計1170点ですので、患者さんの負担は3割として3510円ということになります。
一方で歯科医院が請求したレセプトがそのまま認められるかどうかは審査員、指導医療管のさじ加減というのが現実で都道府県や保険者間でかなり審査の格差があると思われます。
実際に関東信越厚生局が発表している平成21年度に実施した個別指導において保険医療機関(歯科)に改善を求めた主な指摘事項の中には、
「○ 画像診断の算定において、不適切な例が認められたので改めること。
・ 必要性の乏しいCT撮影 」という項目があがっています。
今までCT撮影は自費診療としていた歯科医院が大多数ですが、患者さんの負担軽減のためには保険適応できる傷病名には積極的に保険算定すべきだと思います。
ただしCT撮影が必要であるという根拠をきちんとカルテ記載すべきなのはいうまでもありません。誰が見てもわかるレントゲン写真と違って診断する場所や断面をコンピューター上で操作しなければいけませんから診断した断面を保存印刷してカルテに添付しておけば問題ないと思います。
インプラント治療のためのCT撮影は自費診療となります。
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