共同通信社 2013年9月24日
患者が医師や医療機関を選ぶ判断材料の一つになる「専門医」をめぐり、札幌市内の病院に勤務する40代の女性医師が書類を捏造(ねつぞう)して資格試験を受験し、一定レベル以上の実力を持つ医師に与えられる「認定内科医」と「総合内科専門医」の資格を不正に取得していたことが21日、日本内科学会などへの取材で分かった。
学会は今月、この医師の両方の資格を取り消すとともに、認定内科医は3年間、総合内科専門医は永久に再受験を認めないとの処分を決めた。
学会によると、医師は2003年7月に認定内科医試験を受験。提出書類には担当教授の署名と印が必要だが、医師は教授と同姓の印鑑を100円ショップで購入し、自分で押印して提出した。さらに05年9月には総合内科専門医試験でも同様の手口で自ら押印。受験に必要な研修を受けておらず、経歴や担当症例に関する書類などをでっち上げていた。
医師はいずれの試験にも合格した。専門医として大阪などの病院で勤務した後、現在は札幌市内の病院で非常勤内科医として勤務している。
今年、「資格を不正取得したのではないか」と告発があり、学会が当時の教授や研修実績として記載された病院などに問い合わせた結果、虚偽と判明した。医師は学会の聞き取り調査に「必要な書類を集められず、出来心でやってしまった」と捏造を認めた。
日本内科学会は「悪質性があり、厳正な処分をした」としている。
※専門医制度
医療の特定の専門分野で、一定の水準に達していると各学会が認定した医師に与える資格制度。日本内科学会では、一定の知識や技能を持つ医師に与えられる認定内科医と、さらに高い水準の経験を積んだ医師に与えられる総合内科専門医の2段階の認定制度がある。広い知識と錬磨された技能を備えた優れた臨床医を社会に送ることが目的。総合内科専門医は現在、約1万5千人いる。
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