半年以内の受診がかぎ 歯科の神経損傷治療
共同通信
親知らずの抜歯や人工歯根(インプラント)治療のトラブルが原因で、神経が傷ついたり切断されたりしてまひや痛みが起きると、手術などで神経の修復が期待できるのは半年がめどとされる。
この間に適切な診断と治療が受けられるかが、回復のかぎを握っている。
「まひなどで口腔外科に紹介される患者は増えているが、受診や診断の遅れで手術可能な時期を逃す人は少なくない」。
こう話すのは東京歯科大千葉病院 (千葉市美浜区)に昨年5月に開設された「急性期神経機能修復外来」を担当する佐々木研一・臨床准教授。
歯科治療で損傷しやすいのは、下の歯の根のすぐ下を走る下歯槽神経や、あごの骨の内側を通る舌神経。
修復外来で1年間に診察した44人は、親知らずの抜歯時やインプラント埋め込みの際、器具や歯が神経を圧迫したり、突き抜けたりするケースが約半数を占めた。
神経には再生力があるが、トラブルの半年以内、できれば直後〜3カ月以内の治療が望ましい。
同外来で効果を上げているのは電気生理学的検査。
歯茎の2カ所に極細の針(電極)を刺して弱い電気刺激を与え、波形を分析する方法で、神経線維の太さなど患者の状態を客観的に把握する。
冷たさや熱さを感じるかを調べたり、ブラシのような細い繊維状の器具で刺激した時の感じ方を調べたりする従来の検査は、結果が患者の主観に左右されやすいが、新しい検査を組み合わせると精度が増すという。
佐々木さんは「しびれや痛みがあっても手術不要なケースが分かるし、定期的に調べれば回復度合いも分かる」と利点を強調する。
同外来の問い合わせは電話043(270)3901。
記事提供
© Dentwave.com