読売新聞 2013年10月3日09時23分
千葉県の医療機関で治療を受けた外国人の医療費未払いが今年3月末現在、60人計約3300万円に上ることが県が初めて行った集計でわかった。
このうちの2人が多額で約1300万円分。
県は「緊急の場合、外国人でも支払い能力、意思を確認した上での治療は難しい」と対応に苦慮している。
県病院局経営管理課財務室によると、ベトナム系米国人女性は2012年1月、旅行中、成田空港行きの飛行機内で脳卒中を起こし、同空港から搬送された県救急医療センター(千葉市)で手術を受けた。
その後、病状は改善し退院したが、医療費の一部の約100万円を支払い帰国。
しかし、残りの約640万円は現在も支払われていないという。
県では、女性の加入する米保険会社と交渉を続けるが、支払いの見通しはたっていないという。
一方、フィリピン人男性は、県循環器病センター(市原市)で11年5月から10月にかけて2回、心不全で入院し、手術を受けた。連絡は取れているが、収入も少ないことなどから今も約670万円が支払われていないという。
県が今年度、初めて行った集計によると、13年3月末現在の外国人の医療費未収金は3271万円。日本人も含めた全体の未収金(約1億7500万円)の2割近くに上る。
国籍は、フィリピン19人、中国7人、タイ5人、韓国4人など少なくとも16か国。
パスポートや身分証を持たないまま治療を受け、国籍不明の外国人もいる。
不法滞在のため、症状が改善すると姿をくらましたり、旅行中の病気で入院したものの、退院後、未払いのまま帰国したりするケースなどがあるという。
県では未収金対策として05年度に対策マニュアルを作成していた。
マニュアルで、保険証を持たない外国人が入院した場合、日本人の保証人をつけたり、医療費が10万円を超える際は、保証金を預けさせたりすることなどを求めるが、「緊急時はすぐに治療に入る。保証人をつけたり、支払い意思を確認したりするのは難しい」と県の担当者は打ち明ける。
(石川純)
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