平成22年度社団法人日本補綴歯科学会
2月6日 東関東支部総会・第14回学術大会から
<テーブルクリニック>
○野村修一新潟大学大学院医歯学総合研究科包括歯科補綴学分野
大阪歯科大学有歯補綴咬合学講座
株式会社ジーシー
Ⅰ 目的
義歯補綴治療は永い歴史があり既に体系化されているものの、主に通院可能者を対象としている。要介護高齢者を対象とした在宅歯科診療では、安全性の確保と短時間での操作が求められ通常の治療術式を変更せざるを得ないことや、早急に義歯を装着して口腔機能を回復することが必要な症例も多い。
そこで本研究では、在宅診療において必要な精度を保ちながら一回の診療で義歯の最終印象採得と咬合採得を行う方法を考案することを目的とした。 Ⅱ 方法
器材は上下顎同時印象用のプラスチックトレー、シリコーンゴム印象材のパテタイプとメディアムボディタイプを用いた。
先ず、上顎の欠損部、口蓋部をパテタイプで一次印象し、過剰な辺縁をナイフで削除修正した。
次に、下顎の欠損部、舌側床縁部にパテタイプを盛り、咬合位に誘導しながら一次印象を行った。
咬合位の誘導には下顎安静位法、顔面形態の調和、嚥下法を利用した。
最後に、メディアムボディタイプで上下顎を同時に二次印象した。
Ⅲ結果と考察
在宅歯科診療を考慮して感染予防、印象後の寸法変化、印象の消毒などの面から、ディスポーザブルトレーとシリコーンゴム印象材を用いた。
術式に改善すべき余地は残るが、印象採得と咬合採得を同日に行う術式の可能性が示唆された。
一方、パテタイプで一次印象を行わない部位では、トレー辺縁から印象材が流出しやすかったことから、日本人の歯列弓や顎堤弓の形態に適合するプラスチックトレーの製品化や本法に適した稠度を持つシリコーン印象材の開発が必要なことが明らかとなった。
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