医療崩壊からの再生途上にある英国に学ぶ (上)
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第42回保団連夏季セミナー分科会
7月8日から
医療の「見る化」で国民的合意形成を
医療崩壊からの再生途上にある英国に学ぶ (上)
近藤克則・日本福祉大学大学院社会福祉学部教授
医療・福祉マネジメント研究科長
健康社会研究センター長
○日本の「医療クライシス」(危機・ 岐路)
○英国をモデルに日本の医療制度改革の課題を考える
—クライシスからの脱却に向けた3つの課題—
○日本の課題:「見える化」推進と医療サービスの中身の改革は誰か?
医療費拡大の二つの道
○アメリカ型
—自己負担の拡大による医療費拡大
—「公的財源はない」が最大の根拠
—自己負担増、混合診療、免責制度
○イギリス型
—公的医療費の拡大
イギリスでなにが起きたか
日本以上の医療費抑制で医療が荒廃
—入院待機者は130万人
—患者による暴力事件(言葉によるものを含む)が15%増えて年間9500件を超えた(2001)
—研修医の半数が、労働基準法上限を超えて働く
—医師の自殺率が他の職業に比べ2倍高かった
クライシス(危機・ 岐路)からの脱却に向けた3課題
イギリスの経験に学ぶ
国民の理解が得られる医療制度改革のための3課題
1)公的な財源で自己負担は抑えて
2)国民の信頼回復
3)医療の質を高める仕組み
○医療の質を高める仕組み作り
1)医療費の無駄、ムリを排し、増やした医療費が医療の質の改善につながる仕組み
2)「医療費を増やしても無駄が増えるだけ」と映れば、医療費拡大は支持を」得られない。
3)モニタリングシステムと戦略的マネージメントが必要
何が問題か?
質・効果
費用・効率
アクセス・公正・公平
「見える化」の時代
○医療費の拡大は必要。
ただし国民が負担しても良いと思える水準まで
—明らかな不足、質に問題、医療崩壊→医療費は引き上げるべき
—格差が大きい→是正すべきだ
—効率が悪い・費用が高い→抑制
○どの側面が見えるかで国民は決める=「見える化」が必要
見えないと・・・
経験(根拠)に基づいているから、互いに譲らない-
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<参考>
医療危機が指摘されて久しい。
「医療再生」を掲げた民主党への政権交代後も実効性のある対策が講じられないまま、現在に至っている。
「第三の道」を旗印に、財源の拡充を通じて医療の質向上に取り組んできた英国とは対照的だ。
なぜ、英国にでき、日本ではできないのか。
財政再建や経済効率など異なる価値を重視する人々に医療費拡充(=負担増)の必要性を理解してもらうためには、医療界が自らの全体像を「見える化」し、医療行為や支出についての「説明責任」を果たすことが重要だと考えている。
る。
「見える化」によって課題を浮き彫りにし、政策を立て、実行し、点検するというPDCAサイクルを医療界全体で回していこうという。
PDCAサイクル
PDCA cycle / plan-do-check-act cycle
典型的なマネジメントサイクルの1つで、計画(plan)、実行(do)、評価(check)、改善(act)のプロセスを順に実施する。
最後のactではcheckの結果から、最初のplanの内容を継続(定着)・修正・破棄のいずれかにして、次回のplanに結び付ける。
このらせん状のプロセスを繰り返すことによって、品質の維持・向上および継続的な業務改善活動を推進するマネジメント手法がPDCAサイクルである。
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