全ての水俣病被害者の救済を

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2010年3月30日全国保険医団体連合会公害環境対策部長 野本哲夫

 熊本地裁で係争中のノーモア・ミナマタ国家賠償等請求訴訟で、3月29日、不知火患者会と国、熊本県、チッソとの間で裁判所が提示した和解についての基本合意が成立した。

これに先立ち、不知火患者会は、3月28日、原告団総会を開き、和解案の受け入れを決めている。 基本合意には、一時金、医療費、療養手当と団体一時金の支給、救済対象者の判定を原告が推薦する委員も含めた第三者委員会で行うこと、共通診断書の採用など前進面が見られる一方、認定基準やチッソの分社化などの見直しには触れておらず、全ての水俣病被害者の恒久救済をはかるものとはなっていない。

 昨年7月に成立した水俣病被害者救済特別措置法に基づく救済ではなく、裁判を通じた解決を目指していた不知火患者会が和解案の受け入れを決めたのは、1956年の水俣病の公式発見から54年を迎え、死亡者の増加や被害者の高齢化が進行していることをふまえた、苦渋の決断といえよう。  2004年の水俣病関西訴訟最高裁判決は、国や県、加害企業チッソの責任を認定するとともに、現行の認定基準を事実上否定し幅広い救済を求めた。

また、環境省が設置した有識者による「水俣病問題に係る懇談会」の提言は、水俣病の発生や拡大についての行政の責任や公害病認定のあり方など広範な分野に及び、具体的な施策を求める意見が多数にのぼった。

  不知火患者会が、3月7日に実施した水俣病検診では、救済対象外地域の天草市で56人中55人に水俣病の症状がみられるなど、今日においても潜在的な患者が多数存在することが示されている。行政による不知火海沿岸住民の健康調査を実施するとともに、救済対象外となっている「指定地域」以外の被害者や1969年以降居住の被害者も含めた、全ての水俣病被害者が救済されるよう、改めて強く要望する。

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