歯科衛生士は、現在登録者数は21万6277人(平成20年、2月末)。
毎年6500人前後が新規に登録されるが、歯科医院側では、慢性的に歯科衛生士が不足している。
この事態は他の業異種と比べても、異常と思われている。
平成18年のデータによれば、就業者数は8万6000人余。
なぜ、このような事態になっているのか?
歯科医療に対する国の"低医療費政策"の反映であることは、論をまたない。
特定健診・特定保健指導の実施、介護保健事業推進といった観点から福祉事務所(保健所)、市町村、介護保健施設等での歯科衛生士の活動が期待される。
だが、特定健診・特定保健指導の現場での歯科衛生士の活動の場は、与えられていない。
都道府県別にみると、県に勤務する歯科衛生士がまったくいない県が5県、5人未満が20府県。
市町村に勤務する歯科衛生士は1人もいない県が1県、5人未満が11県。
また、介護老人保健施設で働く歯科衛生士は全国でわずか173人であった。
保健師と比較すると、全国の保健師数は歯科衛生士の半分弱4万191人であるが、その8割近くが福祉事務所(保健所)、市町村、介護保健施設等で就業している。
このことからも、歯科衛生士の職能の理解不足によるこの分野での活躍が十分になされていない。(厚生労働省平成18年保健・衛生行政業務報告概況)
歯科衛生士は専門学校で、養成課程2年から3年へ移行されつつある。
また,2004年からは4年生大学教育も加わり、さらに資質向上が図られてきている。
毎年6500人余が歯科衛生士の国家資格を得ている。
だが、歯科衛生士として就業している歯科衛生士は8万6000人余りで、登録者数は21万6277人の有資格者の40%程度の就業率。
平成18年の歯科医療施設総数6万7000軒と比較して、歯科衛生士は圧倒的に不足状態。
それは、国の歯科医療に対する、"低医療費政策"に根幹がある。
歯科衛生士は、歯科医療の現場では,働きたくも、"働きたくない"のである。
これは、日本歯科医師会の政策や戦略を超えた問題に帰着する。
その意味で、歯科医療の現場は、介護現場に酷似している。
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