「中小医療機関における患者安全のためのシンポジウム」が3 月8 日、東京国際フォーラム で開かれた。 主催は、発平成20 年度厚生労働科学研究「医療機関の規模や特徴に応じた職員研修の具体的で効果的な研修カリキュラムの作成と実際の活用と普及」に関する研究班。 同研究班が、これまでに調査した、中小医療機関における患者安全の取組を紹介し、中小医療機関の医療安全の研修プログラムについて、広く意見を聞くためのシンポジウムである。 開会あいさつを嶋森好子(慶応義塾大学看護医療学部教授)研究代表がした。 また、厚生労働省医政局総務課 医療安全推進室長 佐原康之氏が挨拶をした。 第1部は、小規模医療機関における患者安全体制確保のための取組みの実際。 座長:鮎澤純子(九州大学大学院医学研究院) 日本医師会の医療安全確保のための取り組み(日本医師会医療安全対策委員会委員長:北原光夫) 日本歯科医師会の医療安全確保のための取り組み(日本歯科医師会医療安全対策委員会委員長:助村大作) 歯科診療所における医療安全確保の実践(U クリニック五十嵐歯科院長:五十嵐博恵) 日本助助産師会及び助産所の医療安全の取り組みとその実践(日本助産師会副会長・安全対策室長:岡本喜代子) 産婦人科クリニックの医療安全の取り組み:インタビュー調査報告(小林美雪:山梨県立大学看護学部) 第2 部 は、「これからの中小医療機関における患者安全推進のために」。 座長:福永秀敏(国立病院機構南九州病院) 嶋森好子(慶応義塾大学看護医療学部) 中小医療機関の医療安全研修の考え方(試案)長尾能雅(京都大学医学部附属病院) 京都大学医学部付属病院医療安全管理室長:長尾能雅 <シンポジウムの概要> 過去に、横浜市立大医学部附属病院で起きた患者取り違え事故、京大病院のエタノール吸入事故など起きている。 そこで、国は大病院中心の安全対策を考えた。しかし、中小規模の医療機関で事故が相次いでいる。 300床以上の大病院の事故件数は0.9%。 一方、小規模な医療機関が、約90%であることから、小規模な医療機関安全対策を担保することが課題になっている。 小規模医療機関は、施設形態が多様で、ハイリスクな医療行為がある。 内視鏡検査など特定の領域に特化するケースが多い。 安全教育が偏る可能性がある。 医療安全に対する施設長の認識の度合いによって左右される。 そこで、施設形態などに応じて教育プログラムをつくる必要がある。 また、診療所については、侵襲性の高い医療行為、危険薬剤使用、高度医療機器使用などの事故の要因が潜んでいる。 <参考> 発起人 高久 史麿(自治医科大学学長) 飯塚 悦功(東京大学大学院工学系研究科教授) 上原 鳴夫(東北大学大学院医学系研究科教授) 嶋森 好子(京都大学医学部附属病院看護部長) 武田 裕(大阪大学大学院医学系研究科教授) 土屋 文人(東京医科歯科大学歯学部附属病院薬剤部長) 永井 良三(東京大学医学部附属病院院長) 三宅 祥三( 武蔵野赤十字病院院長) (平成17年9月8日)なお、「Uクリニック五十嵐歯科」(仙台市)の五十嵐博恵院長は、日本歯科医師会の歯科医療安全対策をベースにした独自のマニュアルづくりをしており、自院の医療安全の取り組みを紹介した。
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