「保険でよい歯を」東京連絡会  シンポジウム(下)—2

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「保険でよい歯を」東京連絡会は7月10日、東京・新宿区南元町の東医健保会館ホールで、シンポジウム「東日本大震災の支援活動から学ぶ 今、私たちができること」を開いた。

歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士のほか一般の人18名を含み50名が参加した<シンポジウム>コーディネーター矢野正明さん(「保険でよい歯を」東京連絡会・世話人 東京歯科保険医協会・副会長)。

 

 

中久木康一さん

歯科医師(東京医科歯科大学大学院医学総合研究科顎顔面外科学分野助教)

 

現在、被災地では歯の治療より、口腔ケアである。今までの災害では応急対応や歯科保健など色々あるが、東日本大震災では遺体の身元確認、応急手当、義歯の対応、口腔保健の全ての対応が求められている。今後の歯科支援は、どのようになっていくかである。3月に福島から都内に避難してきた人たちがいて、その対応をしたが、そのご各被災地には度々行った。そこで見えてくることは、支援する人たちが段々減ってくる寂しさだ。継続した支援が必要なのかなと思っている。私自身も短期で反復するスタイルになっているが、6月は毎週1日だが行っていた。組織ではなく個人の立場なのでそうもいかないので、7月からは月1回行くことにしようと思っているが、できれば継続して行ければいいと考えている。保健婦さんも全国から被災地に入っているが、4日間ぐらいで交代する、振り出しに戻るわけではないが、次にやってきた人の受入などの対応が、現地では負担になっている。お金が何らかの形で重要だと思う。我々がやったことは、被災地の歯科診療所の助手さんの給料を出したことだ。職場の歯科診療所がなくなって、助手さんが転職したり都会へ出ていってしまえば、その歯科診療所の再建はありえないわけだ。 また、実際に何が必要なのか、現地の人たちに聞いてみないと分からないが、厚生労働省など公的な機関に助手さんの給料を出してほしいと頼むわけにもいかない。(このあと、3月11日の、東京医科歯科歯学部附属病院内の様子を紹介した)外来患者は230名、入院患者が60名、歯科医師、学生、留学生の数の方が患者の数より多い。院内放送は日本語なので、留学生たちには通じなかった。地震後の混乱のなかで、想定外にスタッフが多すぎたことを感じた。結局、帰れずに朝まで病院にいた人は、120名だった。毛布を出したり、非常食を出したり、テレビを置いたりした。写真で見るとおり、おじいさん、おばあさんが多い。この人たちを病室ではなく、一階のロビーで一晩寝かせた。医学部では300人くらいが朝までいたと言われている。みなさんも帰れなかった経験をされたと思うが、翌日、帰ろうと思って車の迎えを頼んだら、この写真のとおりにひどい渋滞であった。首都圏に直下型の地震が起こったときには、85万棟が倒壊し、死ぬ人は1万1000人。下町の家は壊れる。山の手の家は燃えるかもしれない。東京の被災地想定のマップであるが、下町の方が危ない。避難者約700万人。都内23区の60万人は避難所に入れない。避難所の想定数を大幅にオーバーする。一番の問題はトイレが足りなくなる。地震発生から1時間後には81万人がトイレに行けなくなる。千代田区ではトイレ待ちが4、5時間となるだり¥ろう。高層ビルの被災、(停電でエレベータが止まっても)誰も助けに来てくれない、とされている。渋滞で救急車はまったく動かなくなるので、当てにならない。絶対に誰も助けてくれないと考えてもいい状況となる。人が集まった場所は、大混乱のなかでパニックとなる。治安が悪化するだろう。仙台の都市部でも「食い物を出せ」などと犯罪行為もあり、夜の一人歩きは危険。その他の治安の悪化もあったようだ。誰も助けてくれない3日間、そのことを想定して、非常食、水を確保している人は30%。都内の歯科診療所の対応は?大きな災害が来たときにはどうするのか?ほとんど考えていないと思われる。院内でも決まっていないので、当然、患者さんもどうしていいか分からないことになる。東日本大震災でも直ぐには、外部から入れなかったが、都内でビルが倒壊したらそれ以上に外部から都心部には入れなくなる。そのときはどうするかを、考えておかなければならない。今回の東日本大震災は、元々高齢化率の高かった地域であり、亡くなった方は高齢の方が圧倒的に多かった。津波では高齢者の方は、逃げるのは遅い。また、会社にいた人たちが、自宅が心配で帰宅して津波に巻き込まれたと言われている。アメリカの自然災害でも男性の犠牲者が多かった。災害時に男性の方が、リスクの高い行動をとるからだ。今回の報道でも、ちょっと自宅に忘れ物をとりに行くと、戻って逃げ遅れた。そのために災害時に持ち出すのもを、普段から一つの袋に入れて置けばよかったのかもしれない。命の分かれ目で、ちょっと戻るという行動のために、命を落としてしまった人もいたようだ。年寄りで避難生活では足手まといになるので、お墓に避難します、と遺書に書いて自殺した高齢者の方いた。悲しいできごとであるが、孤独がキーワードになるのかと思う。阪神・淡路大震災では560人が孤独死したとされている。仮説住宅に入っても、バラバラとなってコミニティがなくなって、孤立する。そこに自分たちが、どのように関われるかであるが、今、どうしたらいいのかな、と悩みながら関わっている。我々がどうこうできる問題ではないが、そこに何かをもっていけるかな、と思っている。普通の生活がどれだけ大切なのか。先輩が自殺するくらい落ち込んでいた。12年連れ添った奥さんと3歳のお子さんがいるが、そのなかで東日本大震災が起きて色々考えさせられたと言っていた。マイナスになってしまったところを、どのようにプラスのもっていけるかだ。歯科の立場ではあるが、もっと大きな目線で関わっていければいいと思っている。

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