nishiyama
歯科大学歯科衛生士学科卒業後、小児患者や障害者の歯科診療体制や、歯科恐怖症患者について学ぶため歯科大学付属の専攻科へ進学し口腔保健学学士を取得。その後は小児歯科専門歯科医院にて勤務。歯科衛生士ライターは「歯科に苦手意識を持っている人が媒体を通して理解し、歯科を身近に感じることで歯医者に行ってみよう」という気持ちになることを後押ししたいという思いから学生時代に始めた。
イヤイヤ期とは、一般的に1歳半から3歳頃の子どもが経験する自己主張が強くなる時期を指します。この時期の子どもは自己中心的な行動を取りやすく、診療室や自宅での歯磨きも抵抗を示すことが多いです。
本記事では、イヤイヤ期の子どもに対する優しい診療法と、ご家族への配慮について詳しく解説します。
1-1.自己主張の強さ
イヤイヤ期の子どもは、自分の意思を強く主張します。「イヤ」「いやだ」と言う言葉が増え、親や歯科医療従事者に対しても反抗的な態度を取ることが一般的です。これは子どもの成長過程の一部であり、自己認識や自立心が芽生え始めている証拠です。
1-2.感情のコントロールが難しい
この時期の子どもは、感情のコントロールが未熟です。急に泣き出したり、怒ったりすることが多く、診療中にも予期せぬ行動を取ることがあります。
2-1.子どもの視点に立つ
子どもが安心できる環境を作るためには、まず子どもの視点に立つことが大切です。
診療室の雰囲気を和らげるために、歯医者さんセットなどのおもちゃを使って遊んだり、実際の診療器具を見せて説明したりして、子どもの好奇心を引き出すことも大切です。
2-2.短時間で効率的に
イヤイヤ期の子どもは集中力が短いため、診療は短時間で効率的に行うことが求められます。
子どもの性格によってはたとえ泣いてしまっても、短時間で抑制をして口腔内を診る方が良い場合もあるため、事前に準備を整え診療の流れをスムーズにする工夫が必要です。
2-3.優しい言葉かけ
子どもに対する言葉かけも重要です。優しい声で話しかけ、子どもの名前を何度も呼んであげることで、安心感を与えることができます。
また「ユニットに座れた」「お口を開けられた」のような小さなことも大袈裟なくらい沢山褒めて、成功体験を積ませましょう。
3-1.ご家族の理解と協力
イヤイヤ期の子どもに対する診療には、ご家族の理解と協力が不可欠です。
診療前にご家族に対して、子どもの状態や診療の流れを詳しく説明し、不安な気持ちを少しでも少なくすることが大切です。
①イヤイヤ期突入までに子どもに歯ブラシを持たせて自分で歯磨きする練習をさせておく
イヤイヤ期に突入する前に、子どもに自分で歯磨きをする練習をさせることは非常に重要です。この時期に歯磨きの習慣を身につけさせることで、イヤイヤ期に突入してもスムーズに歯磨きを続けることができます。
子どもに歯ブラシを持たせて自分で磨かせることで、自己肯定感も育まれます。
最初は歯ブラシを持ってくれなかったり、すぐに飽きてしまったりしても、親が見守りながら少しずつサポートすることで、子どもも楽しんで歯磨きに取り組むことができます。
楽しい歯磨きタイムを演出するために、子ども用のカラフルな歯ブラシや、好きなキャラクターが描かれた歯磨剤を使うと良いでしょう。
②歯磨きへのポジティブな印象を与えてもらう
歯磨きを楽しい時間にするために、歌を歌ったり、楽しい話をしたりすることが効果的です。
例えば、「歯磨きの歌」を一緒に歌うことで、子どもが歯磨きを楽しむことができます。
また、どれだけ仕上げ磨きの時に子どもの機嫌が悪くなったり、泣いたりしてもたくさん褒めてあげましょう。
「上手に磨けたね!」や「ピカピカになったね!」「ママパパも○○ちゃん○○くんみたいに綺麗な歯になりたいな!」
などといった言葉は、子どもの自信を育て、次回の歯磨きも頑張ろうという気持ちにさせます。
③イヤイヤ期までに歯科医院を受診する習慣を身につけておく
イヤイヤ期までに歯科医院を受診する習慣をつけることも大切です。定期的に歯科医院を訪れることで、子どもが歯医者さんに対する恐怖心を持たずに済みます。
また早い段階で歯の健康状態をチェックしてもらうことで、う蝕や歯列不正の早期発見・予防につながります。
歯科医院での経験をポジティブなものにするために、親がリラックスした態度で接し、子どもにとって楽しい訪問となるよう、私たち歯科医療従事者も適切な声掛けを行いましょう。
イヤイヤ期の子どもに対する診療は、特別な配慮が必要です。子どもの視点に立ち、優しい言葉かけを心がけることで、安心感を与え、診療をスムーズに進めることができます。
また、ご家族との連携を強化し、日常生活での対応方法について具体的なアドバイスを行うことも重要です。イヤイヤ期は一時的なものであり、適切な対応を行うことで、子どもとご家族双方にとって負担の少ない診療を実現することができます
歯科大学歯科衛生士学科卒業後、小児患者や障害者の歯科診療体制や、歯科恐怖症患者について学ぶため歯科大学付属の専攻科へ進学し口腔保健学学士を取得。その後は小児歯科専門歯科医院にて勤務。歯科衛生士ライターは「歯科に苦手意識を持っている人が媒体を通して理解し、歯科を身近に感じることで歯医者に行ってみよう」という気持ちになることを後押ししたいという思いから学生時代に始めた。