執筆 ミホ
東京医科歯科大学卒業後、都内歯科大学病院に勤務。退職後はフリーランスの「歯科衛生士ライター」として活動し、ライターの指導や教育、ディレクションも行う。自身で制作・運営を行なっていた歯科メディアは販売を達成。大学の卒業研究では日本歯科衛生学会の学生研究賞(ライオン歯科衛生研究所賞)を受賞。現在はDentalMonitoringJapanに勤務し、2児の母でもある。
Instagram:@toothteethtokyo
歯科衛生士という職業は、一度国家資格を取得すれば永続的に歯科衛生士として働くことができます。
また転職市場も引く手数多で、就職に困るということはほとんどありません。
しかし勤務先によっては毎日緊密なスケジュールで、患者だけでなく院長にも配慮が必要である等、身体的・精神的なストレスを感じやすい職業でもあります。
本記事では、歯科衛生士が直面するストレスの原因と、歯科衛生士生活をより充実させるための具体的な方法をご紹介します。
歯科衛生士が普段感じやすいストレスを、よくある順に並べると以下の通りです。
・職場の人間関係に関するストレス
・仕事と家庭の両立に関するストレス
・日常業務に関するストレス
・働き方に関するストレス
歯科衛生士の転職理由として1位に上がることも多い「職場の人間関係」は、歯科衛生士に特にストレスを感じさせます。歯科衛生士の99%が女性であり、どの勤務先に行っても女性社会が形成されている、というのも原因の一つでしょう。女性特有の空気感やトラブルが存在し、これらは男性の院長には理解されにくいため、歯科衛生士は相談先が無くストレスを感じ転職するという場面がしばしばあります。
また女性社会が問題なく機能していても、院長と折り合いが合わずストレスを感じることもあります。歯科衛生士として経験を積めば積むほど、院長に対して疑問を感じることも増え、対立しやすくなることは仕方の無いことです。
夫やパートナーができても生活は大きく変わりませんが、子どもが生まれたり介護の必要が出てきたりすると生活は一変します。またそういった境遇の歯科衛生士は経験年数も重ねていることが多く、「歯科衛生士として」「母として」「介護者として」日々多くのことを求められます。そういった環境の中で時間的なものだけでなく、精神面でもプライベートとのバランスを取るのは簡単なことではありません。こういったストレスにより職場や家庭での衝突が生じる等、悪循環に陥ることもあります。
歯科衛生士は夜勤が無く、残業も少ないことがほとんどですが、その分「とても給料の高い職業」と言えるわけでもありません。また歯科医師よりも清潔・不潔の区別や滅菌等について詳しく学んでいることが多いため、院長のやり方や院内の衛生管理状況によりストレスが増大することもあります。
自身の感情やストレスサインを認識し、その原因を理解する「自己認識」と、適度な運動、趣味、十分な睡眠といった「自己管理」は、日々のストレスを解消するための第一歩です。しかし他者の感情には敏感でも、自身の感情やストレスサインには鈍感な人は少なくありません。そこで自己認識力を高めるためのおすすめの方法として、自身が感じた感情や自身に対して思ったこと等、「自分の観察日記」をつけることがあります。これにより、自身を取り巻く特定の状況や人物が、自身のストレス要因になっていることに気付けることがあります。また自身を第三者目線で捉えることができるようになり、冷静に状況を分析し、感情的ではなく合理的な対応を行うことが可能になります。
加えて運動によりセルフケアを行うことも重要ですが、チームスポーツの要素を取り入れることがおすすめです。単独で運動を行うのではなく、他者と協力あるいは競争することで、社会的な交流による満足感も得ることができます。こういった取り組みは、仕事によるストレスから距離を置き、自身の社会性を育むことにもつながり、心理的な成長も得られます。
さまざまな業務を抱える歯科衛生士にとって、タスク・時間管理はストレスに直結します。これらを上手く行うことで、生産的に業務を進めることができ職場全体の効率が向上します。
日々のタスクを効果的に管理するには、まずすべての業務をリストアップし、それらに含まれるタスクも一覧にし、優先度の高い順に並べていくことが重要です。優先度は、院内全体に関わることか、そうである場合は期限や締め切りがあるか、ある場合は締め切りが近いかどうか等で決めていきます。すべての優先度を把握したら、優先度が高いものから具体的な日程を組んでいきます。これにより、もっとも重要な業務に集中し、計画的に取り組むことができます。
なお優先度の高い重要なタスクは、もっともエネルギーのある時間帯に対処しましょう。例えば昼食後は眠気、夕方は疲れを感じやすい方は、朝一番や午前中に時間を取ることをおすすめします。午後には深い思考が不要な、日々のルーティン作業や緊急性の低いタスクに着手します。
またアプリ等でタスク管理をするのもおすすめです。例えばカレンダーアプリでタスクに充てる時間とその対応状況がわかるようにしたり、プロジェクト管理ツールでタスクの進捗状況を追跡したりすることができます。これらのツールは大部分が無料で利用でき、リマインダーやアラート機能も搭載されているため、期限や対応の抜けを防いでくれます。こういったツールを院内や担当スタッフと共有することで、全員がお互いのスケジュールや対応状況を把握でき、コミュニケーションや業務の調整が行いやすくなります。
自身でストレスマネジメントが難しい場合は、専門家の助けを借りることも重要です。心理カウンセラー等に定期的に相談することで、ストレスの根本となっている要因を深く掘り下げ、それに対するより効果的な対処法を学ぶことができます。プロの視点からのフィードバックは、自身では見出せなかった視点を与えてくれます。これは日々の生活にも応用できることがあるため、個人的な成長にもつながるでしょう。
東京医科歯科大学卒業後、都内歯科大学病院に勤務。退職後はフリーランスの「歯科衛生士ライター」として活動し、ライターの指導や教育、ディレクションも行う。自身で制作・運営を行なっていた歯科メディアは販売を達成。大学の卒業研究では日本歯科衛生学会の学生研究賞(ライオン歯科衛生研究所賞)を受賞。現在はDentalMonitoringJapanに勤務し、2児の母でもある。
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