歯科分野に係る診療報酬改定に関するポイント -地域包括ケアシステム編-

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歯科分野に係る診療報酬改定に関するポイント -地域包括ケアシステム編-(1)かかりつけ歯科医の機能の評価
はじめに
前回の院内感染防止対策編では、新たに定められた設備基準、申請期間の解説や感染防止対策に役立つ製品の紹介を行った。
「院内感染防止対策」以外に「地域包括ケアシステムの構築の推進」のテーマの下、かかりつけ歯科医の機能の評価、周術期等の口腔機能管理の推進、在宅歯科医療の推進の3点について様々な改定が行われた。
今回は、「かかりつけ歯科医の機能の評価」に焦点を当て、疑義解釈とともに解説していく。
【概要 -かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)の見直し-】
かかりつけ歯科医機能を推進する観点から、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)の施設基準の見直しやかかりつけ医との情報共有と連携の評価を行う。
医科歯科連携の推進
歯科診療を行う上で必要な診療情報や処方内容等の診療情報をかかりつけ医との間で共有した場合の評価が以下の様に新設されることになった。
(新)診療情報共有料 120点
[算定要件]
① 診療情報の提供を文書により求めた場合に算定
② 問い合わせに対応できる体制を確保していること
③ 患者1人につき、診療情報の提供を求めた月のから3ヶ月に1回限りの算定
か強診の施設基準の3つの見直し
① う蝕・歯周病の重症化予防の管理実績
う蝕や歯周病予防の重症化予防に関する継続的な管理実績等が要件に追加され、関連する要件の見直しが行われた。また、訪問診療において在宅療養支援歯科診療所との連携実績も評価対象。
② かかりつけ歯科医としての研修内容
院内感染防止対策によって施設基準が新設されたことを踏まえて、研修内容の見直し等を行うことが必要。
③ 地域連携に関する会議等への参加実績
過去1年間に診療情報提供料又は診療情報連携共有料を合わせて5回以上算定している歯科医師は地域連携に関する会議等へ参加するなど定められた項目を満たすことが必要。

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気になるQ&A
「同じ内容の研修をもう一度受講する必要はある?」

かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所又は在宅療養支援歯科診療所について、平成30年3月31日までに届出を行っている医療機関が経過措置期間中に再度の届出を行う場合において、旧施設基準と重複する研修を再度受講する必要があるか。

研修受講歯科医師の変更がない場合においては、重複する研修内容の再度の受講は必要ない。(研修を受講した歯科医師に変更がない場合は、研修会の修了証の写し又は最初に当該施設基準の届出を行った際の副本の写しの提出は不要)
なお、この場合において、様式 17 の2の「5 歯科疾患の継続管理等に係る研修」の欄又は様式 18 の「3 高齢者の口腔機能管理等に係る研修の受講歯科 2歴等」には、追加で受講した研修に関する内容を記載し、高齢者の心身の特性等(旧施設基準と重複する研修)は届出済みである旨を記載すること。
(平成30年度「疑義解釈資料」より引用)
「か強診と初診料の施設基準を同時に届け出ることはできる?」

かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所について、平成30年3月31日までに届出を行っている医療機関が経過措置期間中に再度の届出を行う場合において、歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準を同時に届け出ても差し支えないか。

差し支えない。この場合において、様式 17 の2の「2 歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準の届出状況」の欄には「届出中」と記載すること。
(平成30年度「疑義解釈資料」より引用)
まとめ
今回の改定により「う蝕の予防」「歯周病の管理」「在宅・訪問診療のケア」の3本柱を基に2016年からスタートしたか強診制度の内容がにさらに詳細にな基準をが設けられた。
2017年6月現在では全体の1割程度しかか強診に認定されているクリニックは存在しない。しかし、高齢社会に求められる健康寿命の延伸には高齢者の口腔機能管理の重要度が上がるに比例して、上記に挙げた3本柱の医療を提供できるか強診の需要も上がることだろう。このような時代のニーズに合った歯科医院が今後の経営に命運を懸けるのかもしれない。
まだ、か強診に認定されていないクリニックは、この機会に一度検討されてみてはいかがだろうか。
Dentwave.com編集部
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