21世紀の歯周病治療 ~矯正・歯周・インプラントにおける統合治療~

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▲アルプドーガン・カンターチ博士
A&H Academy主催 [アルプドーガン・カンターチ博士] 21世紀の歯周病治療
▲「21世紀の歯周病治療」講演の様子①
A&H Academy主催 [アルプドーガン・カンターチ博士] 21世紀の歯周病治療 概要
2019年5月16日(木)、東京駅近くのKPP八重洲ビルにおいて、A & H Academy主催による「21世紀の歯周病治療~矯正・歯周・インプラントにおける統合治療」が開催された。
A & H Academyでは歯科医師およびコ・デンタルスタッフの個人・職業的な成長をサポートする教育機関である。画期的なデバイスを活用した光加速矯正治療のテクニックを基礎から段階的に学ぶことができ、国内外第一線の講師陣による多彩なセミナーを提供していることが大きな特長だ。
デバイスにより、低光量エネルギーを歯周組織に照射することで、歯周組織の骨芽細胞や線維芽細胞が活性化される。結果、コルチコトミーのような侵襲を与えることもなく、矯正治療による歯の移動を促し、治療期間を短縮させることが可能となる。
今回、「21世紀の歯周病治療~矯正・歯周・インプラントにおける統合治療」のゲストスピーカーとして、「アルプドーガン・カンターチ博士」 (ハーバード大学・フォーサイス研究所)が招待された。カンターチ博士は歯科医師であり、世界屈指の研究者でもある。最近の研究で、唾液検査が脳震盪を診断する上で有効であるという記事がForbesに掲載されている。
21世紀の歯周病治療 アウトライン
・歯周病の予防と治療
・歯周病治療におけるインプラントとインプラント周囲疾患
・歯周病と全身健康状態
・エイジングと歯周組織
・歯周組織と矯正治療(デバイスによる光加速矯正治療の症例報告も含む)
本記事では、「21世紀の歯周病治療~矯正・歯周・インプラントにおける統合治療」内で紹介された、バイオマーカーを活用した歯周病治療について紹介する。
 本記事が、読者の日常臨床の一助になれば、幸いである。
唾液によるバイオマーカー検出は血液に匹敵する
▲「21世紀の歯周病治療」講演の様子②
バイオマーカーとは、疾患の存在有無・進行具合によって濃度が変化するタンパクや遺伝子といった生体内物質のことを指す。発現量を測定することで、病態の定量評価などが可能となる。一般的に血液を採取して、測定することが多い。
しかしながら、血液ではなく、唾液中のバイオマーカー検出も、疾患の存在や進行度を測定する上で、有効である。唾液の採取は血液採取よりも簡便であり、低侵襲である。歯科医院での活用方法だが、患者の唾液を採取した後、専門機関に唾液中のバイオマーカー分析を依頼すれば良い。口腔内疾患の有無や状態を定量的に分析することができる。
例えば、インプラント周囲組織に疼痛のある患者が来院してきたとする。視診やX線写真による定性評価に加え、唾液中のバイオマーカー測定による定量評価を行えば、インプラント周囲の炎症状態をより正確に見極めることが可能となる。
インプラント周囲組織に炎症がある場合、MMPやRANKLといったバイオマーカーの発現量が上昇する。MMPの発現上昇はインプラント周囲の上皮組織に炎症が生じていることを示唆し、RANKLやTRAPなどの破骨細胞マーカーの発現上昇は骨吸収の促進を示している。このように、唾液を採取し、種々のバイオマーカーを分析することで、口腔内疾患だけではなく、全身疾患の予測診断・進行度の評価が可能である。
「今後の歯周病治療において、バイオマーカーの測定は重要な位置づけとなっていく。唾液中のバイオマーカーを分析することにより、口腔内疾患だけではなく、全身疾患の発見にもつながるのではないか」カンターチ博士は述べていた。
A&Hの最大の魅力は、カンターチ博士のような著名な先生の講演を聴く機会が得られること以外に、画期的なデバイスによる光加速矯正治療を基礎から学ぶことができる点だ。カンターチ博士のケースプレゼンテーションを通じて、デバイスの有用性を強く認識した。日本の矯正歯科治療において広く使われるものになる日も遠くはないだろう
A&Hアカデミー詳細とセミナー情報はHPより: https://www.a-and-h.com/home-page
*文中の「デバイス」は日本では未承認の医療機器です。本記事は販売促進を目的とするものではありません。また、デバイスの販売元企業は日本に営業所あるいは営業担当を持ちません。
古川 雄亮(ふるかわ ゆうすけ)
  • 日本矯正歯科学会 所属

東北大学歯学部卒業後、九州大学大学院歯学府博士課程歯科矯正学分野および博士課程リーディングプログラム九州大学決断科学大学院プログラム修了。歯科医師(歯学博士)。バングラデシュやカンボジアにおいて国際歯科研究に従事。2018年より、ボリビアのコチャバンバで外来・訪問歯科診療に携わり、7月から株式会社メディカルネットに所属。主に、DentWaveやDentalTribuneなどのポータルサイトにおける記事製作に携わり、現在に至る。


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