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2019/03/04

公益社団法人 日本口腔インプラント学会 第38回 関東甲信越支部学術大会 特別講演1「3D空間手術支援の最前線:VR/AR/MR/3Dスキャナ/ホログラフィー」

座長:東京歯科大学口腔インプラント学講座 矢島 安朝 氏
HoloEyes株式会社 取締役COO、株式会社Mediaccel 代表取締役CEO、
東京大学先端科学技術研究センター客員研究員 演者:杉本 真樹 氏

2019年2月10日(日)~11日(月)の2日間、公益社団法人 日本口腔インプラント学会 第38回 関東甲信越支部学術大会が京王プラザホテルで開催された。本大会のテーマは、『インプラント治療を通して歯科医療の未来を考える』であった。
 今回は、幅広いテーマの中から特に下記の講演内容に着目し、第1弾として特別講演1 「3D空間手術支援の最前線:VR/AR/MR/3Dスキャナ/ホログラフィー」の講演内容について報告する。

はじめに
医療領域におけるVR/AR/MR/3Dの各領域で先駆け的な存在の杉本医師。外科医でありながらVR/ARを活用した手術支援システムを開発する会社の設立、医療ビジネスコンサルティングや科学教育にも関わりながら幅広い人材育成に携わり、企業人としての側面ももつ杉本氏。大学に所属しながら研究を続けてきたが、予算がなくなると企業の共同研究が打ち切られてしまうことに絶えずジレンマを感じ続けてきた背景によってHoloEyes株式会社を起業した現状から語り始めた。
2Dモニターで観てきた3次元画像の現状と課題について
従来、私たちは3次元画像を2Dのモニターで観てきた。スマホ・タブレット・テレビ・映画など、いずれも切りとられた板の範囲で皆さんは御覧になられており、観ている人は動かないことが当たり前で、患者のCT画像も平たく表現されている状態に慣れてしまっている。
 しかし本来、物体は空中に浮かんでいたり、裏側から観て回れる方が自然な状態と言える。患者が立体である状態を理解するのに、平面にする方が誤認を起こしやすい。そこで、ホログラムの技術などを使ったかたちで自然に理解し、正確・安全に役立つようなソリューションを展開していく。
まず、どのようにサイナスリフトを使うのか、患者さんに理解してもらうためのツールとなる具体例として歯科のVR(Virtual Reality)に関する番組が放映された事例を紹介する。
 機材を入手し、細かな設定などはなく、被るだけで即時的に必要な作業ができる。すべて無線でWi-Fiを使っており、空中で手を動かす(ジェスチャー)だけでコントロールが可能。バーチャルのデータが空中に浮いて半透明の状態で示され、ゴーグルで撮影した映像が映し出されている。ゴーグルは位置を共有しているため、一つのものを違う角度から同時に観られる。歯根部とサイナスリフトの距離、深さが非常によくわかるうえに、対象物が小さいため、拡大して観られるのが大きな利点と言える。
パソコンのモニターは、あくまでも画面サイズだけが対象範囲となる。拡大した画像に囲われた状態にすると観ている人が動きながら理解していける。左右それぞれに動いたときの状態を体感でき、視認だけに留まらないことから鮮明な記憶として思い出しやすい。
 患者が、このデータを持ち帰って体感できることを含めて患者とのコミュニケーションにも非常に有用である。
口腔内スキャナ(光学印象)もかなりポピュラーになってきた。性能も良く短時間でスキャンできる。最近は、3D画面や3Dモニターで観たり、実際に患者さんの口に重ねて表示をするようなシミュレーションに使うなど、さまざまな発展をみせている。
実際、歯根管治療は奥の治療が非常に大変だが、顕微鏡をみてもわからず、内視鏡治療も難しいため、データを拡大し、自分の周りを取り巻くように予めER体験をしておくとあたかも器具の先端に目がついているような体験ができる。実際に被らないと実感できないため、ぜひ皆さんに被ってみていただきたい(図1)。
▲図1:ゴーグルを装着している杉本先生
データを観ている自分自身という要素もデータの中に包括する視点をもつことが重要
大学病院の口腔外科講座で活用されている事例では、実際に顎を前に出す手術で皆、同じ位置をゴーグルで見ることができている。既にさまざまな手術で活用されており、空中で確認後、手術時その場で患者の当該位置へ合わせることも可能だ。
 映像を撮影しているのも同じHoloLensというゴーグルで録画機能がついている。1台しか購入しないと自分で自分を撮影できないため、2台以上、購入することをお勧めする。
2Dの白黒のデータは三次元構築できる。この三次元構築は点群の集合体で小さな点が集結して塊に見えるという方法だ。点一つずつに色と光の透過度、影を設定して回転させて動かすためにそれらを計算しながら表示することをレンダリングという。これは点群のデータであるため、2Dのモニターで濃くはみえるが、実際の三次元的な存在感、または自分が取り囲まれている臨場感は得られない。
バーチャルリアリティーを応用したAR(Augmented Reality)では、VR空間に自分が入り込む体験ができる。VRには3要素(図2)が必要と言われている。空間性だけでなく、リアルタイムに相互作用することが必要。従来までのパソコンを観る状態との違いは自分という要素がデータの中に入る(投射性)ことだ。どこから観ているのか、観た人がどのくらい動いているのか、という状態に対して映像が連動して同じ環境を作るのがVR。従来、皆さんはモニターの中のデータを観ているだけで自分という要素は入れていない。これからは、どこからどのような角度でどのように動くのか、相互関係を共に表示できる状態を最近は(VR, AR, MRの総称として)XRと言うこともある。
▲図2:VRに必要と言われる3要素
画像記録の現状と今後の展開について
最近はCTを撮るときに消しゴムを使うと、真っ白にハレーションを引かない廉価なマーカーとして非常に使える。紙の上に複数置くことで肉眼的なマーカーとして汎用し、ポートの位置を選定すると非常に有用である。
 画面の上にホログラムを置くと画面に集中して手術を実施できる。例えば開腹手術の場合、術野の上に投影する場合などで有用と言える。
 プロジェクタに映していたが、プロジェクタは平面情報を映すのに歪む。ホログラムは元来、立体のデータ。いろいろな角度からみても再現できる。
これから画像の記録は一眼レフを購入するよりもスキャナを購入した方が良いのかもしれない。動作の記録が可能なスキャナもあり、手の動きなどをすべて点群の動きを記録し、360度、さまざまな角度から再生できる。画面のモニターで体験するのではなく、ゴーグルで体験し、いろいろな角度から再現ができる。ベテランと若手の手の動き・熟練度などの評価ができ、教育効果を定量化できる。今まで医療は暗黙知が多く、定量化できないものが多いが、いかに形式知に変えて定量化するか、これが求められているデジタルテクノロジーである。
触覚に関するニーズに対しては、3Dプリンターが必要となっている。STLデータ、ポリゴンなど、そのままプリントアウトでき、最近は軟らかさや質感なども再現できるようになった。
 エコーすると、対象となる場所そのものを創り出せる素材を開発した。沸点を変えて中が先に溶けて液体になる状態でこの素材は出血する。3層構造にしてこの素材で血管を創れば手術中に出血をした体験ができる。実際に出血したときの危機感が若い人を育成していく。この素材は、いろいろな臓器で採用しており、臓器のセットで販売されている。
暗黙知であった医療を構造化データにすることで形式知にする。個人情報であったデータは、ポリゴンやVRにすることで個人情報が消えるので汎用情報になる。つまりAI定量化できるのだ(図3)。素晴らしい知識や技術をデータで共有し、医療全体の底上げを前提に医療の認識を変えていきたい。
▲図3:AIの定量化につながる過程
CTデータを使ってポリゴンにすればアップロードするだけで手術前・術後の患者への説明、術中にはHoloLensを被って画像で観られる。
 弊社のHoloeyesは2019年中に薬事承認を取得予定であり、各自が使用すること自体には問題ない。さまざまなゴーグルでも体験できるように、開発している。体験してみたい方は、皆さんのスマホで使える無料のアプリを公開している。Holoeyesで検索してアプリを無料でダウンロードできる(図4)。別途必要なゴーグルは廉価版が100円ショップで購入可能。HoloLensをお持ちの方は検索画面でHoloeyesと検索できる。約5症例ほどサンプルで入れてあり、中には歯根部のデータも確認可能だ。
▲図4:Holoeyesへのアクセスフロー
VRアーカイブサービスは、クリックすると即時的に観られ、データ管理の手間が省けるという意味でも利用価値は高い。 後進の教育にも利用価値は高く、学生は、ゴーグルを被り、自分で歩いて自分で理解する。教育方法として遥かに有用で若い人ほど、このような世界観に慣れているので一瞬で理解しやすい。
 従来は2Dの世界を理解後に3Dを理解してきたが、先に3Dを体験してから2DのCTを観ると一気に理解度が速くなり、術後のデータの復習にも有用で、実際に誤認や出血が減り、手術時間が短縮し、教育効果も高まる。 2Dモニターから解放されるのは今である。と杉本氏は締め括った。

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