中東国(ヨルダン)における小児口腔ケアの課題

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▲ヨルダン科学技術大学 Ola B. al-Batayneh氏
歯科治療を受けられない小児の存在
Dental Tribune Internationalは、today (2019/2/6号)に掲載された記事、“Special dental care for the “forgotten” children: An expert opinion (“忘れられた小児”へのスペシャルニーズ歯科:専門家の見解)” の内容を紹介する。
ヨルダンは中東にあり、シリアやイスラエル、サウジアラビアなどの周辺国と国境で接している。天然資源が少なく、主に観光で外貨を獲得している(死海で有名な国でもある)。近年、シリア内線や政情不安で、近隣諸国からの難民急増により、財政負担が増大していることが、大きな課題となっている。
日本に比べると、ヨルダンはまだまだ発展途上ではあるが、医療サービスは充実している。難民を含め、医療サービスを平等に受給できる制度が整っている。しかし、ヨルダンでは医療サービスを受けられない人々が存在する。主に、スペシャルニーズ歯科を必要とする小児だ。本記事では、ヨルダンの小児歯科事情を紹介する。
ヨルダンの小児が歯科治療を受けられない理由とは?
ヨルダンで歯科治療を受けることができない理由としては、小児本人の問題に加え、家庭的な問題なども絡んでいると考えられている。
ヨルダン科学技術大学のOla B. al-Batayneh氏の研究によると、ヨルダンの小児が歯科治療を受けられない理由に、家庭環境や歯科医院とのアクセスが強く関係していることが示唆されている。

ヨルダンの小児が歯科治療を受けられない理由

  • 家庭の経済状況が悪い
  • 親の素行が悪い
  • 歯に関する親の関心度が低い
  • 歯科医院が近くにない(対照群と比較し最も顕著)
「大学の教育課程の中に、歯科治療を受けられない患者にみられる特徴的な行動観点、治療方法を学ぶ機会を取り入れるべきだ」。障害児の治療を多く担当するOla B. al-Batayneh氏は語る。
まとめ
ヨルダンの一部の小児が歯科治療を受けられない理由に、家庭環境や、歯科医院と自宅間距離、小児の障害有無などがあることが分かった。ヨルダンでの小児歯科事情を垣間見ることができた。
一方、日本では、医療ケア児に対する歯科治療サービスの供給不足が問題視されるようになった。今後も医療ケア児が増加していくことが予測され、問題の深刻化が懸念されている。
医療ケア児以外にも、様々な事情で歯科治療を受けられない小児が、現に存在する。つまり、日本もヨルダンと同様の問題を抱えており、決して他人事ではない。全ての小児が平等に歯科治療を受けられるための施策を早急に講じる必要がある。
本記事が、読者の役に立てば、幸いである。

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