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2019/02/12

第28回ライオン健康セミナー「人生100年時代」に向けた歯科医療をめざして

「第28回ライオン健康セミナー」概要
▲第28回ライオン健康セミナー
1/27(日)、霞が関駅と直結しているイイノホールにおいて、「第28回ライオン健康セミナー」が開催された。会場は500人を収容可能だったが、当日は多くの聴講者と関係者により、ほぼ満席だった。
「第28回ライオン健康セミナー」の趣旨は、人生100年時代を迎えるにあたって、国民が一生涯を楽しく過ごすために、ストレス解消につながる「笑い」、口腔領域と関連の深い「呼吸」、口腔の健康を保つ際に重要な「歯周病」についての情報を新たな視点で提供することである。
「第28回ライオン健康セミナー」の講師と講演タイトル
・大平哲也先生 基調講演「笑いによる口腔と心身の健康作り」
・今井一彰先生 講演「もう知ってる?まだ知らない?口呼吸のあれこれ」
・南崎信樹先生 講演「歯周病悪化の原因はこれだ!歯肉を診て、歯槽骨を読み、そして患者さんをその気にさせる!」


本記事では、3つの講演の一部を紹介する。読者の歯科診療の一助になれば、幸いである。
▲大平哲也先生
大平哲也先生 基調講演「笑いによる口腔と心身の健康作り」
大平哲也先生(福島県立医科大学医学部教授)は、笑いが健康に与える効果について、講演を行った。

「笑い」は、顔の作りとハ行の発声から構成される行動のことを指す。赤ん坊であれば、生後8-10カ月頃からみられる行動である。人間以外であれば、ゴリラやオランウータンなど、一部の高等生物のみで、笑いが観察される。

大平哲也先生の講演は非常にユーモアにあふれ、参加者の笑いが終始絶えなかった。笑いが健康に与える良い影響が本講演のテーマであったが、読者の中には、普段笑う機会が少ないと感じている方もいるかもしれない。しかし、面白い、楽しい、嬉しいなどの感情が無くても、笑うという行動により、健康面で良い効果が期待できると考えられている。
笑いによる健康的効果
・歯の残存歯数が多くなる
・アレルギー反応が減少する
・血糖値の上昇を抑える
・動脈硬化の予防になる
・認知症の予防になる

笑いの健康的効果が注目されるようになり、「笑いヨガ」といった、笑いの体操とヨガの体操を組み合わせた運動法が日本でも普及しつつある。笑いという行動がストレスを軽減させ、ストレス関連疾患や生活習慣病に良い効果をもたらすことが考察されている。医学分野でも「笑いヨガ」のような運動法が、積極的に導入されるかもしれない。

講演の最後に、大平先生は下記のメッセージを聴講者に贈った。
「医師が笑顔で患者に接するだけで、患者は健康になれた気分になれます。医師自身が薬になるので、笑顔で患者に接するようにしましょう。」
笑いや笑顔という行動は、薬物投与と同等の効果があるのかもしれない。薬物療法の補助療法として、「笑い療法」が今後登場することを期待したい。
今井一彰先生 講演「もう知ってる?まだ知らない?口呼吸のあれこれ」
▲今井一彰先生
今井一彰先生(みらいクリニック院長)は口呼吸の為害性、疫学、治療法についての講演を行った。今井先生は口呼吸が健康面で様々な悪影響を及ぼすことを啓蒙し、その改善策として「あいうべ体操」を提唱している。

今井先生が口呼吸に関する啓蒙活動を開始したきっかけは、診察していた多くのリウマチ患者の口が臭いことに違和感を覚えたこと、今井先生自身の調査で約9割の患者が低位舌(口呼吸)だったのを発見したことである。

ところで、読者の皆さんは、口呼吸の人の顔貌的特徴をご存知だろうか。
口呼吸の人の顔貌的特徴
・オトガイ部の緊張
・分厚い下唇
・前歯の唇側傾斜
・異なる口角の高さ
・異なる目の大きさ

口呼吸をしている人は、「私は鼻で呼吸しているから大丈夫」と、気づいていないケースが多い。今井先生は、「歯科での口呼吸の放置はプラークコントロールを悪くします。特に、歯科衛生士の方は、口呼吸をする人の特徴を知っておきましょう」と、述べていた。
口呼吸がある患者では、プラークの付着にも特徴がある。鼻呼吸を普段している患者のプラークの染め出しを行うと、歯頚部を中心にプラークが付着していることが多い。しかし、口呼吸をしている患者のプラークを染め出すと、歯の先端部が染まりやすい特徴がある。口から入る空気により、歯の先端部が乾くことで、歯頚部より先端部にプラークが付着しやすいためである。
したがって、プラークの染め出しを普段行う歯科衛生士が、口呼吸をする患者のプラーク付着の特徴を知っていれば、患者の口呼吸を見落とす可能性が下がる。口呼吸を改善すれば、プラークコントロールも良好になり、アレルギーや精神疾患などの様々な症状の改善にも期待できる。
今井先生の講演を聴講し、私を含め、多くの歯科医療従事者が、歯科治療に際し、患者の口呼吸の有無を診査することの重要性を認識したはずだ。口腔だけではなく、全身を診る姿勢で日々の臨床に臨むことの大切さを学んだ。
南崎信樹先生 講演「歯周病悪化の原因はこれだ!」
▲南崎信樹先生
南崎信樹先生(南崎歯科医院院長)は、歯周病の一番のリスクファクターは、「人」であることを述べていた。ここでいう、「人」というのは、患者のみではなく、歯科医師や歯科衛生士も含まれている。
読者の皆さんは、歯周病患者に対してどのような対応をしているだろうか。歯科医師や歯科衛生士であれば、プラーク・歯石の付着状況や、歯肉の性状、歯槽骨の状態を診査するはずだ。しかし、歯周病患者を診る力がなければ、歯科医師や歯科衛生士が歯周病のリスクファクターの一因になってしまう。
重要なのは、プラークコントロールの意味を理解し、実践できる歯科衛生士の雇用や育成である。適切なプラークコントロールを実践できる歯科衛生士がいれば、歯科医師が歯周外科を行う際に、患者の歯周組織からの出血が少なくなり、オペがしやすくなる。歯周病治療において、歯科医師と歯科衛生士の連携がとれていることは非常に大切である。
歯科医師と歯科衛生士のチームワークは重要だが、どうすれば信頼関係を上手く築くことができるだろうか。それは、歯科医師が歯科衛生士を信頼することである。例えば、歯科衛生士に歯周基本治療を完全に任せてしまうことは、互いの信頼関係を深めるために、非常に良い方法ではないだろうか。
また、歯科治療において歯科衛生士と同じゴールを共有することも大切である。我々歯科医療従事者が一丸となり、患者の歯周病を悪化させることが無いよう十分注意し、日々の診療に取り組まなくてはならない。
「第28回ライオン健康セミナー」は、4/21(日)に大阪でも開催される予定である。
当日のスケジュールが空いていれば、「笑いあり、学びあり、気づきあり」のライオン健康セミナーへの参加をお勧めする。
*本記事掲載時には、セミナーの定員が上限に達する可能性があります。
古川 雄亮(ふるかわ ゆうすけ)
  • 日本矯正歯科学会 所属

東北大学歯学部卒業後、九州大学大学院歯学府博士課程歯科矯正学分野および博士課程リーディングプログラム九州大学決断科学大学院プログラム修了。歯科医師(歯学博士)。バングラデシュやカンボジアにおいて国際歯科研究に従事。2018年より、ボリビアのコチャバンバで外来・訪問歯科診療に携わり、7月から株式会社メディカルネットに所属。主に、DentWaveやDentalTribuneなどのポータルサイトにおける記事製作に携わり、現在に至る。

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