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2013/10/24

第4回:金属アレルギーと歯科治療

4月22〜23日、東京都江戸川区のタワーホール船堀で日本歯科理工学会学術講演会が開催された。そこでの発表のなかに9大学の研究者の連名による「金属アレルギーに関する基礎的研究」というのがあった。金属アレルギーは、歯科用合金の使用もその一因とされており、一般社会、患者の関心も高い話題である。2003年度に日本歯科理工学会の調査委員会が行った歯科材料の安全性に係わるアンケート調査でも、歯科医や患者の80%以上が金属アレルギーに不安を感じているという結果が出ている。金属アレルギー問題は、日本の歯学部理工学関連講座の大多数が金属を専門としているにもかかわらず、本格的な取り組みをあまりして来なかったテーマである。それがようやくこのような形で取り組まれるようになったことは大いに評価したい。

金属アレルギーについて、金属イオンの感作性や臨床症状については様々報告されているが、歯科医療分野における金属アレルギーのメカニズムや検査法については未知な部分が多い。そこで、平成16〜18年度文部科学省科学研究費補助金の支援も受け、歯科臨床の現場で活用できる金属アレルギー検査法の確立を目指すプロジェクトを立ち上げ、今回これまでに得られた成果の一端を発表したものである。

金属アレルギーまたはその疑いと診断された被験者および健常者から唾液を採取、その中に6種類の貴金属合金およびチタン、ニッケルチタン合金を浸漬し、溶け出してきたイオンのうち8種類の金属について分析を行った。さらに、唾液中のたんぱく質量の測定、唾液を採取した被験者の口腔内の金属修復物の表面分析も行った。その結果、銀、銅、パラジウム、ニッケルの溶出が確認されたが、被験者と健常者の間で量的な差はほとんど認められなかった。また、たんぱく質の量に関しても同様であった。被験者のパッチテストでニッケル、亜鉛、スズ、パラジウム、金、銅などが陽性と診断されていた修復物の表面分析からは、金、銀、銅、亜鉛、白金、パラジウム、クロム、コバルト、ニッケル、チタン、モリブデン、鉄が検出された。結論的には、たんぱく質以外の唾液成分、性状が金属アレルギー発症に関与していることを示唆している。

金属アレルギーは、腐食反応によって溶出する金属イオンにより引き起こされる遅延型過敏症であり、金属腐食は電解質の影響を受けやすいことを考えれば、結論は常識的ともいえる。しかし、従来、金属イオンの溶出は乳酸、リンゲル液、人工唾液などの溶液を用いての測定がほとんどであり、実際の唾液を用いてまとまったデータを得たことの意義は大きい。今後は、唾液成分のみならず、飲食物(とくに酸性の)の影響にも注目する必要があるのではないかという気がする。

口腔内の金属修復物を除去することにより、アレルギー症状が軽快する例が少なからずあるとされている。したがって、金属を用いた歯科治療が医原病とならないよう、歯科臨床医も金属アレルギーについての理解を深めることが望まれる。掌蹠膿疱症、皮膚炎(接触性、アトピー性)、扁平苔癬などと診断される例が多く、高い感作率を示す金属には水銀、ニッケル、コバルト、クロム、パラジウム、白金、スズがある。

歯科領域における金属アレルギーについて、日本ではかなり多くの報告が見られるが、外国の文献ではほとんど取り上げられておらず、我が国独自の問題として取り組む必要もあるように思われる。3年間のプロジェクト研究ではあまりにも短すぎる。さらに長期間継続して研究を進め、金属アレルギーの予防・治療に役立つ情報、成果を出してほしいと思う。

(金属アレルギーの概略についてもう少しお知りになりたい方は、日本歯科理工学会のホームページにある報告 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsdmd/BPA/report02.pdf のなかの3.2)アレルギーの項を参照して下さい)

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