歯科用CBCTを再考する

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株式会社モリタ

歯科医院において現在の三種の神器と言われるものにマイクロスコープ、光学スキャナー、歯科用CBCTがあげられます。この3つの中で最も歯科医院で普及している機器は、歯科用CBCTではないでしょうか。理由としては、他の二つは治療に用いるものですが、歯科用CBCTは診査診断に使用するという歯科医療の根幹をなす機器だからだと思います。歯科用CBCTはX線を用いた画像検査の一つですが、効率的な使用方法と放射線防御について、今月は考えてみたいと思います。

歯科用CBCTと医科用CTとの違い
  歯科用CBCT 医科用CT
利点 ・解像度が高い
・被曝線量が少ない
・比較的小さい
・維持費用が安価
・軟組織とのコントラストを鮮明に描画できる
・CT値をもつので、定量性がある
欠点 ・軟組織との区別が困難
・CT値がない
・解像度が歯科用CBCTより悪い
・被曝線量が多い
・設置面積を多く占有する
・維持費用が高価


CBCTにおける被曝線量の低減のためのポイント
歯列弓にフィットさせた撮影領域(FOV)を実現
・診断目的にあったFOVを選択する。
・画素サイズを大きくする。
・電流と管電圧を下げる。
・断層厚を増加させる。

ベラビューX800(株)モリタ
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ベラビューX800は、CT撮影に加えパノラマ/セファロ撮影を一台で可能にしたAll-in-oneタイプのX線診断装置。高解像度、ボクセルサイズ80μmの CT撮影を実現。また、CT撮影は、水平にX線を照射することで、アーチファクトの少ない画像を取得できる。高繊細な360度CT撮影モードとハイスピードで低照射線量の180度CT撮影モードを搭載し、診断目的に合わせた撮影を行うことができる。

High Resolution Images
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高解像度、小照射野CT画像
FOV φ40×H40の撮影では、ボクセルサイズ80μm、2.5LP/mm以上の高解像度CT撮影を実現。

Horizontal Irradiation
株式会社モリタ
CT撮影では、アーチファクトと歪みを低減させたX線水平照射を実現。
C撮影とパノラマ撮影を両立するためにフラットパネルディテクタ (FPD)のシフトにより、CT撮影では水平に、パノラマ撮影は硬口蓋の障害陰影を抑えるため、約5度の打ち上げ角度となるようにX線の照射方向を切り替え。

Various Fields of View
株式会社モリタ
多彩なFOVで局所から広範囲までDental Arch FOV搭載
 歯列弓にフィットさせたφ100相当の撮影領域(FOV)を実現し、少ないX線量で全歯列の撮影が可能になった。

ズーム再構成機能
株式会社モリタ
CT複合機としては初めてのズーム再構成機能を搭載。撮影済みのCT画像(125μm)から関心領域を指定し、再構成処理を行うことで、再撮影をすることなくボクセルサイズ80μmの高解像度CT画像を得ることが可能。

対面式で簡単位置付け
株式会社モリタ
Face-to-Face Design
 患者さんとコミュニケーションを取りながらより正確なレーザービームの位置付けが可能。

コントロールパネル
株式会社モリタ
自在に動くので、位置付け時に前方・側方から操作しやすく、患者さんから目を離すことなく設定、確認できる。

ユーザーインターフェイス
株式会社モリタ
直感的に操作できるタッチパネルを採用。


アーチファクトに注意
歯科用CBCTは、歯冠部に関してはアーチファクトが出現するために、読影には習熟が必要です。特に補綴物やメタルコアといった金属からのアーチファクトは、診断できないほど大きなものになることも多々あります。そのためにパノラマレントゲンやデンタルレントゲンと比較して正しい読影することも正確な診査・診断には必要となります。金属によるアーチファクトは、金属の近遠心では、黒いアーチファクトが出現し、頬舌側には白く放射線上に出現することが多いと思います。そのために金属が咬合面に装着された歯牙では歯冠の近遠心で黒くみえることがあります。画像を見る限りはカリエスのように見えますが、実際にはアーチファクトであり虚像なので注意が必要です。また、ローデータがあれば、再度断層を自由に切ることができることも大きな利点です。

画像診断の重要性
適切な画像の診査・診断には頭蓋部の解剖学的知識に精通する必要性と撮影時に生じるアーチファクトを勘案した知識が必要となります。歯科用CBCTは、画像では3次元に構築された画面をモニター上では表示しますが、所詮一断面の2次元画面を構築したものです。モニターで表示された画像を適切に診断するためには、解剖の知識と照らし合わせながら3次元的に病態を先生の頭の中で再構築することが正しい診断を行う基本となります。そのためにも、日常の診査・診断で3次元的に画像を理解する訓練が必要となります。せっかく導入された高価な医療機器ですから、毎日の診療で正確な診断を行い効率的な診療を行いたいものです。

プロフィール

内田 昌德(うちだ よしのり) 医療法人鶴翔会 
内田歯科医院 長崎大学大学院歯学研究科(口腔生理学専攻)卒業

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